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父に続いて立った甲子園の舞台 常総学院の捕手が感じた夏への課題

2024年3月27日21時30分

朝日新聞DIGITAL

 (27日、第96回選抜高校野球大会2回戦 常総学院1―6報徳学園)

 捕手の片岡陸斗選手(3年)は、父の将義さん(39)も甲子園経験者だ。高校3年だった2002年夏、拓大紅陵(千葉)の選手として初戦に臨み、2安打を放ったが敗れた。

 その父から「甲子園は限られた人しか立てない特別な場所」と何度も聞かされて育った。常総学院へ進学したのも、「甲子園にいけるから」だ。

 新チームで主将に選ばれて臨んだ、昨秋の県大会予選の初戦。苦戦して九回裏に何とか逆転サヨナラ勝ち。浮かれる仲間に厳しい言葉をかけた。

 「目指しているのは甲子園のはず。このサヨナラ勝ちで盛り上がっているなら、先はない」

 孤立を恐れず、勝つための言動を心がけてきた。ところが、その予選のさなかに島田直也監督に呼ばれた。「主将という役目を背負いすぎて、良さがなくなっている」。自分自身のプレーに集中するよう、主将交代を告げられ、悔しさから涙を流した。

 「グラウンドの主将」として捕手の技術を磨いた。だが、関東大会準決勝。捕球できずに後ろにそらせ、チームを劣勢に立たせた。記録は投手による「暴投」だが、責任を感じる。この試合でチームは敗れた。肩の痛みで満足のいく練習ができない時期もあった。

 このころ毎日のように将義さんとLINEでやりとりした。「このままだとやばい」と不安を漏らすと、「大事なのは結果ではない。練習でも一つ一つ手を抜かないように」と励ましの言葉をもらった。

 実は将義さん自身も高校生のころ、不調だったときに同じような言葉を指導者から言われたことがある。あっという間に終わる高校野球を、息子には悔いのないように全力で駆け抜けてほしい。そんな親心で見守ってきたと明かす。

 「ショートバウンドの投球が来ても、そらさない」。そう心に決めたどり着いた甲子園。この日、中1日で先発したエース小林芯汰投手(3年)は五回までに111球を要した。5失点。何度も駆け寄って「バッテリーが崩れてはだめだ」と声をかけた。

 打っては、八回に犠飛で三塁走者を生還させ、1点をもぎ取った。しかし、捕手としては、終盤に継投した投手の球を後ろにそらしてしまった。「秋よりはミスを減らせたが、100球来たら100球止められる選手にならなければ」

 父と同じ舞台には立ったが、そこで見えたのは夏への課題。再びこの場所に戻るため、自分との戦いは続く。(富永鈴香)

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