魂のストレートも「まだまだ甘い」 さらに上を目指す大阪桐蔭の中野
(27日、第96回選抜高校野球大会2回戦 大阪桐蔭4―2神村学園)
お互いを「ライバル」と認める大阪桐蔭の2年生投手が継投し、チームを勝利に導いた。
投球動作の途中で上げた左足をクイッと上下する「2段モーション」から、内角を突く直球をテンポよく繰り出す。
五回から登板した中野大虎(だいと)投手はリズムに乗っていた。
先発した同級生の森陽樹(はるき)投手は、長身から最速151キロの直球を繰り出す本格派右腕だ。だが初めての甲子園で緊張からか、力んで球が浮き、初回から失点した。その後は調子を取り戻し、0点に抑えていた。
交代するとき、中野投手は森投手から「頼むぞ」と声をかけられた。「後は任せてくれ」と親指を立てた。
ベンチ入りしている投手6人の中で、2年は2人だけ。「普段は仲良しだけど、練習では刺激し合う仲間でもありライバル」と認め合う。この日も試合前から「今日は俺らで回していこう」と話していた。
中野投手の名前「大虎」の由来は、亡き祖父が大の阪神タイガースファンだったことにある。自分も自然と虎党に。抑えで活躍した藤川球児投手の「火の玉ストレート」に憧れ、自分の直球を「魂のストレート」と自称し、一番の武器として磨いてきた。
エースを目指し、この冬は勝負球を新しく身につけた。縦に落ちるフォークボールだ。
この日も「魂のストレート」でツーストライクに追い込んで、フォークで三振。八回まで毎回三振を奪っただけでなく、ヒットも許さなかった。ただ九回、力んでしまい、長打2本を浴びて1点を奪われた。
2年生コンビの「二枚看板」はそれぞれ1失点。試合後、中野投手は「まだまだ甘いです」と苦い顔を見せ、森投手は「ベストを出せなかった」と悔やんだ。試合に勝っても、2人はさらなる上を目指す。(西晃奈)