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七回まで無安打、青森山田が怒涛の反撃 逃さなかった広陵の「隙」

2024年3月27日20時01分

朝日新聞DIGITAL

 (27日、第96回選抜高校野球大会2回戦 青森山田6―5広陵)

 快記録を阻止する一打に、大きな拍手がわいた。

 青森山田打線は、大会屈指の好投手、広陵(広島)の高尾響の前に手も足も出ず、七回まで無安打。外野への打球もわずか1本に抑え込まれていた。

 八回表に2点を先取され、その裏の攻撃。先頭で代打蝦名翔人が送られた。

 「高尾投手がえぐいボールを投げてたんで、気持ちしかない。初球は絶対振ろうと決めていた」。その初球。スライダーが思い切り振ったバットの先に当たり、左中間にぽとりと落ちる二塁打になった。

 広陵ベンチはすかさず伝令を送った。だが、味方の2得点が、高尾の心境に微妙な変化を生じさせていた。「守りにいこうと、力んでしまった」

■突いたほころび

 その隙を逃さない。青森山田の怒濤(どとう)の反撃が始まった。2四球で走者をため、1死満塁に。続く右打者対馬陸翔は四回の第2打席でスライダーを引っ張り、木製バットを折られていた。だから今度は「逆らわずに」。初球のスライダーを一、二塁間へ転がし、試合を振り出しに戻した。

 九回に3点を勝ち越されても、気持ちは折れない。再び走者をためて1死満塁。続く佐藤隆樹が捉えたのもやはり初球。スプリットを左中間に流し、走者一掃の同点適時三塁打とした。

 広陵の捕手・只石貫太は、2本の同点打について「悪い球ではなかった。少し甘く入ったところをうまくコンタクトされた」。3季連続甲子園出場の経験豊富なバッテリーの、わずかなほころびを突いた。

 八、九回に失点したエース関浩一郎はサヨナラ勝ちに「みんながカバーしてくれて感謝しかないです」と言って涙した。

 昨秋は投手力に支えられて甲子園にやってきた野手たちが束となり、最高のプレゼントを返した。(安藤仙一朗)

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