• 高校野球
  • マネジャーが率いた憧れの舞台 報徳学園、軟式野球部の廃部乗り越え

マネジャーが率いた憧れの舞台 報徳学園、軟式野球部の廃部乗り越え

2024年3月18日19時00分

朝日新聞DIGITAL

 第96回選抜高校野球大会の開会式が18日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場であった。昨春準優勝の報徳学園の選手たちは入場行進で堂々とした姿を見せた。プラカードを掲げたのは清水耕大さん(3年)。部員92人で唯一のマネジャーが、大役を果たした。

 出場32校中、2番目に入場してきた選手たち。地元の声援を受けながら、息の合った行進を披露した。

 先頭で率いた清水さんは「お客さんが多くて緊張したけれど、憧れの舞台を歩けて楽しかったです」と笑顔を見せた。

 丹波篠山市在住。報徳学園中学では軟式野球部で、高校でも軟式野球部に入るつもりだった。

 報徳学園は軟式野球部も全国選手権大会に4回出場し、ベスト8入りしたこともある名門。ところが中学3年生の冬、廃部を知らされ、入部できなくなった。

 「まさか廃部になるとは思わず驚いた」と清水さん。大好きな野球を続けたいと、硬式野球部に入部する道を選んだ。

 しかし入部後、選手たちのレベルの高さに驚いた。「このままではずっとメンバー入りはできない」。必死に練習に食らいついた。

 それから1年。2年生になっても力の差はなかなか埋まらず、「マネジャーとしてチームのために貢献しよう」と決めた。

 昨年6月に大角健二監督へ思いを打ち明けた。

 「ほんまにそれでいいのか」と大角監督。「やらせて頂きます」ときっぱりと答えると、「ありがとう」と言われたという。

 試合でスコアを書いたり、練習でノックを打ったり、バッティングピッチャーを務めたり。練習中には選手が食べるご飯を用意したりしている。午後8時半ごろまで自主練習に付き合うことも。

 チームが強くなっていく姿を見るとやりがいを感じる。「周りをよく見て、他の人のために動くのが好きな性格なのでマネジャーに合っていると思う。選手のときよりも楽しいです」

 大角監督は「縁の下の力持ち。部員が多くて負担が重いのに、1人でほぼ100%の仕事をしている」と高く評価する。チームに貢献する姿勢を買われ、開会式で先導役を任された。

 試合では記録員としてベンチ入りする。清水さんは「甲子園でベンチ入りできることになり、マネジャーになって良かった。選手たちにはいつも通り、のびのびとプレーをして力を出し切ってほしいです」。

 報徳学園は大会5日目の第3試合(22日午後2時開始予定)で、愛工大名電(愛知)との初戦に臨む。(森直由)

関連記事

アクセスランキング

注目の動画

一覧へ
バーチャル高校野球ではアンケートを実施しています