未来を変える、一歩を探る 朝日地球会議2022

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 気候変動など地球規模の課題を考える国際シンポジウム「朝日地球会議2022」(10月16~19日オンライン配信)の今年のメインテーマは、昨年と同じ「希望と行動が世界を変える」です。新型コロナ後の世界がまだ見えないうちに、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、以前からの気候危機も深刻さを増しています。今回は世界から「知の巨人」が集まります。この先の世界のありようをともに考え、世界を変えるための確実な一歩を踏み出しましょう。

 ■侵攻や気候危機、ともに考える

 安心・安全な世界は待っていないのではないか。収まらない新型コロナ、ロシアによるウクライナ侵攻、深刻化する気候危機……。解決の糸口が見えないうちに新たな問題が起こり、私たちの日常を大きく揺さぶる。そんな世界に生きていると、明るい未来を描くのは難しいと感じる。

 自分が子供のころ、親の世代より豊かになるのは当然だと思っていた。科学技術の進歩によって自然はコントロールできると思っていた。地球規模の相互依存によって国際秩序は保てると信じていた。

 だが、それはいずれも幻想だった。成長神話は崩壊し、自然は人間に牙をむき、戦争を止める魔法の杖などなかった。あの小さなウイルスでさえコントロールできないことを思い知らされた。私たちは、ある面で自らの力を過信し、ある面で過小評価していた。

 いまから50年前、スウェーデンのストックホルムで環境問題に関する初めての政府間会合「国連人間環境会議」が開かれた。会議に向けて発表された報告書「成長の限界」は、人口爆発や食料不足、資源の枯渇、汚染の増大などによって、50~100年以内に人類は成長の限界に達するだろうと警告した。

 30年前、ブラジルのリオデジャネイロで「国連環境開発会議(地球サミット)」が開かれ、地球温暖化防止や生物多様性の保全に向けた条約が動き出した。カナダから来た12歳の少女は「どうやって直すのかわからないものを壊し続けるのはもうやめてください」と訴えた。

 今年、気候変動の科学をつかさどる国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、温暖化を止めるには温室効果ガスの急激で大幅な削減が不可欠だが、その手立ての多くを私たちはすでに手にしており、問題は今すぐやるかやらないかだ、と指摘した。

 私たちはとうの昔に知っていたのだ。多くの人が暮らせるのは地球以外にないし、そこには限界がある。だからといって悲観する必要はない。人も自然の一部であり、自然と敵対しない形でエネルギーや食料を得ることができる。

 すべてを解決することはできないが、我々は100年前と違ってわずか1年でワクチンを開発できるような科学や技術を持っている。地球の反対側にいる貧しい人たちや侵略を受けている人たち、未来世代の人たちと直接、コミュニケーションを取る手段だってある。

 みんなの知恵を結集すれば、進むべき道はきっと見つかる。朝日地球会議をそんな場にしたいと思う。

 (編集委員・石井徹

 ■無理せずエコ、「けち」な私の日常 タレント・井上咲楽さん 19日16時45分~

 今春から人気長寿番組「新婚さんいらっしゃい!」(朝日放送)の司会を務めるなど芸能界で活躍するタレントの井上咲楽(さくら)さん(23)。日々の生活で意識するのはサステナビリティー(持続可能性)だ。環境への負荷が少ない暮らしは地球に優しい半面、我慢や不便を強いられるというイメージを抱く人も少なくない。無理なく、楽しく実践するのが咲楽流だ。

 ここ数年、気候変動対策やSDGs(持続可能な開発目標)が重要視されるようになり、サステナビリティーに配慮した暮らしがあらためて注目されるようになった。

 しかし、栃木県益子町の山間部の実家で、自然を間近に感じながら育った井上さんにとって、それは慣れ親しんだ暮らしそのものだ。

 飲み終わった牛乳パックは洗って開き、魚を切るときのまな板代わりにする。カレーを食べた後の皿は、使わなくなったTシャツをウエス代わりにして汚れをとってから洗う。使う洗剤と水が減るので、環境にも家計にも優しい。また、生ごみはコンポストで堆肥(たいひ)にしていた。

 「ごみを出すにもお金がかかるから、できるだけごみを出さないようにしていました」と言うように、こうした工夫や知恵はどちらかといえば「地球のため」というよりも「自分たちの暮らしのため」が出発点だ。

 環境問題というと、学校の宿題のように「やらなくてはならない」という義務感が強くなり、ややもすれば窮屈に感じる。井上さんは「これをすると自分にも得があるって考えれば楽しくなる」と言う。

 最近は昆虫食にはまっている。環境負荷の低さや栄養価の高さから近年期待されているが、そうした概念から入るのではなく、「おいしいと思って食べている」という。

 井上さんは自分について「めちゃくちゃ、けち」と言い切る。いつもマイボトルを持ち歩いているといい、「ペットボトルを1本買わなければ100円得した」と考えると、1カ月で数千円の「お得」になるという。「自分のラッキーに換算するのが続けるコツかも」と笑う。

 モノを買うときは一生使えそうなものを選ぶ。壊れたら直して使う。値段が少々高くても、長い目で見たらその方が経済的だし、長く使うことで「育てている」という感覚も生まれるという。「丁寧な暮らしに幸せを感じます」(戸田政考)

 ■10月16日(日)

 ◇12:30~12:40

 主催者あいさつ

 中村史郎(朝日新聞社社長)

 ◇12:40~13:05

 来賓あいさつ

 メリッサ・フレミング(国連事務次長)

 野田聖子(前内閣府特命担当大臣〈地方創生・少子化対策・男女共同参画〉)

 ◇13:10~13:30

 持続可能な都市・東京の実現に向けて

 小池百合子(東京都知事)

 ◇13:30~15:30

 世界の知が読み解くコロナ後の時代【第1部】

 〈パネリスト〉與那覇潤(評論家)、市原麻衣子(一橋大大学院教授)、吉岡桂子(本社編集委員)▽コーディネーター・長野智子(キャスター)

 ◇15:35~17:35

 世界の知が読み解くコロナ後の時代【第2部】

 〈パネリスト〉小川さやか(立命館大大学院教授)、東浩紀(批評家・作家)、 青山直篤(本社国際報道部次長)▽コーディネーター・長野智子(キャスター)

 ◇17:40~18:25

 私らしい暮らしのために 新しい介護

 〈パネリスト〉メイプル超合金・安藤なつ(お笑い芸人)、堀田聰子(慶応大大学院教授)▽コーディネーター・佐藤陽(本社文化部記者)

 ◇18:30~19:30

 「幸せ」に生きるための教育とは?

 〈パネリスト〉落合陽一(筑波大准教授)、中室牧子(慶応大教授)▽コーディネーター・泉谷由梨子(ハフポスト日本版編集長)

 ◇19:35~20:35

 どうなってるの ロシアのいま

 〈パネリスト〉小泉悠(安全保障研究者)、あしや(ロシア人ユーチューバー)、ユージーン・マグダリット(ジャーナリスト)、アリーナ・ディドコフスカヤ(ジャーナリスト)▽コーディネーター・西村大輔(本社GLOBE編集長)

 ■10月17日(月)

 ◇13:30~15:00

 ポスト・コロナを生きるためのグローバルヘルス

 〈パネリスト〉辻愛沙子(arca代表取締役)、茶山美鈴(早稲田大3年生)、坂元晴香(東京女子医大准教授)▽コーディネーター・柏倉美保子(ビル&メリンダ・ゲイツ財団日本常駐代表)

 ◇15:05~16:05

 「幸せ」に生きるための教育とは?(16日の再配信)

 ◇16:10~17:10

 どうなってるの ロシアのいま(16日の再配信)

 ◇17:15~18:00

 髪の毛1本が、あなたを、そして人類を救うかも

 〈パネリスト〉麻木久仁子(タレント)、有地正太(毛髪診断コンソーシアム元幹事役)▽コーディネーター・中島隆(本社編集委員)

 ◇18:00~18:15

 毛髪の可能性を追求した価値共創型SDGs

 〈講師〉新田香子(アデランス・グループCSR広報室長)

 ◇18:20~19:20

 世界の知が読み解くコロナ後の時代~ジャック・アタリさん

ジャック・アタリ(経済学者・思想家)▽聞き手・青山直篤(本社国際報道部次長)

 ◇19:25~20:25

 子どもの貧困――100年後もあっていいの?

 ブレイディみかこ(在英コラムニスト)▽聞き手・清川卓史(本社編集委員)

 ■10月18日(火)

 ◇13:30~14:30

 気候危機と戦争で揺れる世界【第1部】私たちの食料はどうなるのか

 〈パネリスト〉長谷川利拡(農研機構農業環境研究部門気候変動適応策研究領域長)、森島千佳(味の素サステナビリティ担当執行役)、北林太郎(農林中央金庫常務執行役員)▽コーディネーター・高村ゆかり(東京大教授)、石井徹(本社編集委員)

 ◇14:30~14:40

 特別共催者あいさつ

 城山英明(東京大学未来ビジョン研究センター長)

 ◇14:45~15:45

 気候危機と戦争で揺れる世界【第2部】エネルギーと脱炭素の未来を描く

 〈パネリスト〉宮下裕(三菱UFJフィナンシャル・グループ代表執行役常務)、大塚友美(トヨタ自動車執行役員)、志賀啓子(ソニーグループ・サステナビリティ推進部環境グループゼネラルマネジャー)▽コーディネーター・高村ゆかり(東京大教授)、石井徹(本社編集委員)

 ◇15:45~16:00

 “天然水の森”100年先を見据えた水源涵養(かんよう)

 〈講師〉風間茂明(サントリーホールディングス執行役員)

 ◇16:05~17:05

 子どもの貧困――100年後もあっていいの?(17日の再配信)

 ◇17:10~17:55

 視点を変えよう 地域の未来へ

 〈パネリスト〉加藤達也(JT渉外企画室次長)、永岡里菜(おてつたび代表取締役)、市来広一郎(machimori代表取締役)▽コーディネーター・大月規義(本社編集委員)

 ◇18:00~19:00

 世界の知が読み解くコロナ後の時代~ブランコ・ミラノビッチさん

 ブランコ・ミラノビッチ(経済学者)▽聞き手・青山直篤(本社国際報道部次長)

 ◇19:05~19:10

 特別共催者あいさつ

 佐藤百合(国際交流基金理事)

 ◇19:10~20:10

 テクノロジーと社会―未来をどうつくる

 石黒浩(大阪大教授)、ユヴァル・ノア・ハラリ(歴史学者・哲学者)▽コーディネーター・井田香奈子(本社論説委員)

 ■10月19日(水)

 ◇13:30~14:30

 AIが広げる社会参加~ワクワクの技術で「誰一人取り残さない」

 〈パネリスト〉浅川智恵子(日本科学未来館館長・IBMフェロー)、スプツニ子!(アーティスト)▽コーディネーター・瀬川茂子(本社科学みらい部記者)

 ◇14:35~15:35

 世界の知が読み解くコロナ後の時代~ブランコ・ミラノビッチさん(18日の再配信)

 ◇15:40~16:40

 テクノロジーと社会―未来をどうつくる(18日の再配信)

 ◇16:45~17:30

 今日からできるくらしチェンジ 身近にできる気候変動対策

 〈パネリスト〉島村琢哉(AGC取締役兼会長/旭硝子財団理事長)、井上咲楽(タレント)▽コーディネーター・戸田政考(本社政治部記者)

 ◇17:35~18:35

 世界の知が読み解くコロナ後の時代~エマニュエル・トッドさん

 エマニュエル・トッド(人類学者・歴史学者)▽聞き手・吉岡桂子(本社編集委員)

 ◇18:40~19:40

 「今さら」を「今こそ」に リンダ・グラットン教授に聞く、人生100年時代の歩き方

 リンダ・グラットン(ロンドン・ビジネススクール経営学教授)▽聞き手・前田育穂(本社文化部次長)

 ◇19:45~20:45

 世界の知が読み解くコロナ後の時代~マルクス・ガブリエルさん

 マルクス・ガブリエル(ボン大哲学正教授)▽聞き手・宮地ゆう(本社GLOBE副編集長)

 【主催】 朝日新聞社

 【共催】 テレビ朝日

 【特別協賛】 旭硝子財団、アデランスサントリーホールディングス、JT

 【特別協力】 帝国ホテル、テレビ朝日映像

 【協力】 グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、日本マーケティング協会、朝日学生新聞社、CNETJapan、ハフポスト日本版、森林文化協会

 【特別共催】 国際交流基金東京大学未来ビジョン研究センター

 【後援】 外務省文部科学省農林水産省経済産業省国土交通省環境省

 ■「朝日地球会議2022」視聴のための事前登録は公式サイトから

 公式サイト https://t.asahi.com/04別ウインドウで開きます

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