(EYE モニターの目)今月のテーマ:参院選報道

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 ■老後資金問題、踏み込んで

 「老後2千万円不足」問題の記事で消化不良感が残った。与野党が主張していることを記事で紹介するのは当然だし、それは良い。ただ、読者そして有権者としては、真実がどこにあるのかを知りたい。実際に平均で2千万円不足というのが事実なのか、自分の年収なら2千万円からどのくらい増減するのか、年金はどのくらい危なくて、どの程度の支給が予想されるのか。参院選を控えた時期だからこそ、有権者として新聞記事から真実を知りたい。(村山智 54歳 神奈川県)

 ■老後資金以外も争点に

 老後2千万円不足問題一色の報道になるのは、とても残念だ。野党がこれ見よがしに争点にするだろうし、高齢者にとっては死活問題かもしれない。しかし、40代から下の世代は年金だけで老後を過ごせるとは思っていないだろう。一部の国民は100歳まで生活するのに十分な年金が受給できるという大きな勘違いをしていると思う。新聞には実際にどれだけ足りないのかという見通しを示してほしい。また、この問題以外の争点も分かりやすく解説してほしい。(朱清隆 47歳 兵庫県)

 ■憲法改正問題、大きく

 「2019参院選 曲折のアベノミクス」を興味深く読んだ。3本の矢について、大企業への恩恵と一般庶民への恩恵が行き届かない点を挙げていたが、庶民への恩恵が不十分な点がやや強調されているように思えた。非正規雇用の増加、子育て・介護支援が不十分なこと、年収の伸び悩み、格差の拡大など、庶民目線での記事は読みやすい。一方で、憲法改正や貿易交渉での将来のシナリオなど、日本の方向性についてもっと広く報じてもらいたい。(三瓶修弘 58歳 埼玉県)

 <様々な争点、読者の疑問に答えたい>

 参院選が公示され、論戦が始まりました。消費増税や年金など、とりわけ身近な暮らしにかかわる分野について政治家がどんな約束や説明をするのかは、最大の注目点です。

 今回の選挙の直前には、老後の生活資金が2千万円不足するとした金融庁の審議会報告書の問題が起きました。報告書を受け取らなかった政権の姿勢とともに、老後の生活不安にどう応えるのかが、争点として急浮上しました。

 政治家は選挙戦で甘い言葉を使いがちです。こうした発言をチェックするだけでなく、論点をわかりやすく解説することも大事です。村山さんや朱さんのように、多くの人が「実際にどれくらい不足するのか」と考えたことでしょう。こうした読者の疑問が少しでも解消できるように、多角的な報道を目指していきます。

 もちろん争点は単一ではありません。3年に1度の参院選は、三瓶さんが挙げた憲法改正をはじめとする日本社会の方向性を論じると同時に、現政権に対する評価を下す貴重な機会です。選挙報道を通じて、読者が考える材料を幅広く提供できればと考えています。(政治部次長・矢部丈彦)

 ■関心の高かったテーマ(5月27日~6月21日)

(1)老後「2千万円不足」問題 100件

(2)トランプ米大統領来日    49件

(3)川崎殺傷事件        35件

(4)ひきこもり問題       29件

(5)陸上イージス配備      20件

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 この欄はクイックモニターのみなさんから朝日新聞紙面について寄せられたご意見のうち、ニュース・テーマ別に整理して数が多かった上位5件を紹介します。原則、前週までの1カ月間にお寄せいただいたご意見が対象です。(1)については「老後、年金だけで生活できるとは思っていない」という声が多く、「年金制度そのものを改めて検証してほしい」との意見が目立ちました。(4)では「#ひきこもりのリアル」への意見、感想が多数を占めました。

 ◇東京本社発行の朝刊、夕刊の最終版をもとにしています。

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