朝日新聞デジタル
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あるきだす言葉たち
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斎藤健一さん
雨は濡れている。
朝早く蒲団から起きあがる。
電信柱が数多くまじってみえる。
知らない声や石榴のなる露地と。
日曜日を境に街燈が点る。
照らし出されるぼくの半身は。
目をつぶったまま笑う。
頭髪は昨日と似た色であり。
水があきらかに掌を映す。
ひとり、額をあげる。
駅舎の硝子張。
糸で編んだ…