(社説余滴)タンクマンはどこにいる 古谷浩一

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 1989年の夏の記憶は、私にとって、一張羅のリクルートスーツの汗の臭いとともにある。

 自分が何をしたいのかも分からないまま、いくつもの企業をぐるぐると回った後のことだ。ある新聞社の最終面接に呼ばれた。ビルの最上階、大きな部屋で、一枚の写真を見せられた。

 写っていたのは、戦車を前に、遮るように一…

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