政府の中央防災会議は31日、南海トラフ地震の「防災対策推進基本計画」を修正し、これまでの最大想定死者・行方不明者数約32万3千人が、同約23万1千人に減少したとする最新の試算を示した。
全壊や焼失する最大想定建物数も約238万6千棟から約209万4千棟に減った。
津波から避難する意識の向上や建物の改修、感震ブレーカーの普及などが主な要因。ただ、新たな数値は参考との位置づけで、今後も従来の数値を用い、耐震化などを進めていく。
政府は2012年、南海トラフ地震での死者・行方不明者数を最大約32万3千人と想定。14年度の基本計画では、23年度までの10年間で人的被害をおおむね8割減少させるとの目標を設定していた。
政府は今回、耐震化や人口変動、避難意識に関する自治体アンケートなどを踏まえて再計算し、人的被害は約9万人、約3割減るとする試算を明らかにした。経済活動に及ぼす想定被害額は約44兆7千億円から約36兆2千億円に減少した。
建物倒壊による復旧費など直接的な経済被害額は、近年の建築資材の高騰などが影響し、約169兆5千億円から約171兆6千億円に増加した。
また、想定震源域内でマグニチュード8以上の地震が起きた場合、被災していない地域の住民も巨大地震に備えて1週間、事前に避難する対策は31日、基本計画に正式に盛り込まれた。緊急災害対策本部長である首相が関係自治体に指示する。
(金山隆之介)
<訂正して、おわびします>
▼1日付総合3面の南海トラフ地震の記事で、「感電ブレーカー」とあるのは「感震ブレーカー」の誤りでした。