(EYE モニターの目)今月のテーマ:新元号

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 ■「極秘任務」小説のよう

 4月2日の連載「平成から令和へ 退位改元」。「極秘任務30年 改元前に去った黒衣」の記事では、いつかやってくる改元に備えて作業を続けていた政府職員が匿名で紹介されており、興味深く読んだ。長年にわたって秘密裏に地道に続けられていた作業が自身の死後に日の目を見るという筋書きは、結果として用意した元号が採用されなかったとしても、垣間見えるご本人の生い立ち、人となりとあわせ、短編小説のように想像力をかき立てる内容だった。(井神拓也 45歳 京都府)

 ■歴史振り返る機会に

 元号が変わることに騒ぎ過ぎと感じたが、日本の国書が利用されたのが初めてということや、「令和」に込められた意味や思い、音や書き方、書きやすさにも選考の背景があったと知り、とても奥深く思った。同時に歴史を振り返る良い機会になった。これからの時代に対する思いや、過去を知ることができる記事が欲しい。子どもたちや外国の人たちが、日本の歴史や未来の日本のあり方に関心を持つきっかけになるような記事が掲載されることを期待する。(日高世華 38歳 茨城県)

 ■多様な意見取り上げて

 4月2日朝刊の「考論」では、新元号について肯定的な意見と否定的な意見がそれぞれ掲載された。肯定的な意見は取り立てて強い印象を受けることはなかった。むしろ否定的な意見は発表して間もない状況だけに勇気が必要で、感じることが大きかった。改元についての記事では、そもそも元号は必要なのか、必要なら社会でどの程度、元号表記を使っていくべきかなど、多様な意見を取り上げて欲しい。改元をお祭り騒ぎで終わらせることのないように。(本田順 48歳 埼玉県)

 <政治性や問題点、今後も冷静に>

 「平成」に代わる新しい元号は何か。前の改元から30年ぶりのできごとだけに、普段は西暦を使っている人でも関心は高かったと思います。一連の報道で心がけたのは、元号が持つ意味を学問的なアプローチから読み解くとともに、選定過程をできるだけ詳細に検証することで、その政治性や元号制度が持つ問題点も含めてわかりやすく示していくことでした。

 憲政史上初めてとなる天皇陛下の退位に伴う改元だったため、事前準備の取材が極めて大きな意味を持ちました。担当記者たちは日々の政治ニュースを追いかけるかたわら、1年半にわたり130人余に上る学者への取材を積み重ねました。発表翌日の朝刊から始めた連載はその一つの成果です。

 メディアの間では、発表後も「令和」をめぐる報道があふれかえる状況が続いています。元号が時代を画すものなのかは議論がありますが、政治利用に対する厳しい視線を持ちながら、冷静な視点で報道していくことは欠かせません。元号が代わっても、変わらぬ姿勢で臨んでいきたいと考えています。(政治部次長・松田京平)

 ■関心の高かったテーマ(3月25日~4月12日)

(1)新元号に「令和」           73件

(2)統一地方選              40件

(3)塚田国交副大臣の忖度(そんたく)発言 34件

(4)ゴーン前会長、4回目の逮捕      28件

(5)桜田五輪相辞任            20件

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 この欄はクイックモニターのみなさんから朝日新聞紙面について寄せられたご意見のうち、ニュース・テーマ別に整理して数が多かった上位5件を紹介します。原則、前週までの1カ月間にお寄せいただいたご意見が対象です。(2)については、大阪ダブル選で維新が大勝した背景について「都構想ともからめ詳しく分析してほしい」との声が寄せられました。(3)では「副大臣の職務権限が省内でどれだけあるのか知りたい」との意見がありました。

 ◇東京本社発行の朝刊、夕刊の最終版をもとにしています。

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