(寂聴 残された日々:16)この世の地獄 災害より恐ろしい我欲

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 今からおよそ90年前、私は子供であった。故郷の阿波の徳島は、お盆の阿波踊りの時以外は、いつでも眠ったように静かで、お四国詣(まい)りの巡礼の鈴音が時々通りすぎるだけだった。

 空は青く高く、いつでも晴れ晴れと輝いていた。南国なので冬に雪を見ることもめったになく、たまに白いものが空から舞い落ちると…

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連載寂聴 残された日々

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