■若くして

 7年前、59歳で若年認知症と診断された。職場でも地域でも隠してきたが、最近、周りに打ち明けようと考えている。大阪府和泉市の曽根勝一道さん(66)がそう思うようになったのは、自分の居場所ができたからだ。「閉じこもっていないで出ていかなあかんとわかりました」と話す。

 ■家にこもりがち

 診断されたとき、小学校で校長をしていた。妻重美さん(65)と相談し、定年まで1年を残し退職した。最後まで認知症だとは言えなかった。

 その後も5年間、子どもにかかわる仕事をした。ここでも明かせなかった。

 仕事の契約が終わると、行くところも、することもなくなった。重美さんとスポーツジムに行ったが、ロッカーの場所や運動マシンの使い方がわからなくなった。1人で散歩に出かけ、道に迷った。たまに友人に誘われて趣味の登山に行く以外は、こもりがちになり、家でテレビを見て過ごすことが増えた。

 重美さんは「このままではいけない」と、インターネットや図書館で調べ、若年認知症の人の交流会に1人で参加してみたが、症状の重い人が多かった。

 一道さんも「認知症」と名のつく集まりには行きたくなかった。当時64歳。「体は動くし、力もある。小さなことでも人の役に立つことがしたかった」

この記事は有料記事です。残り1317文字
ベーシックコース会員は会員記事が月50本まで読めます
続きを読む
現在までの記事閲覧数はお客様サポートで確認できます
この記事は有料記事です。残り1317文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
この記事は有料記事です。残り1317文字有料会員になると続きをお読みいただけます。