(いちからわかる!)お年寄りの「拘束介護」なぜ起こったの?

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 ◇人手不足(ひとでぶそく)が一因。徘徊(はいかい)や転落事故(てんらくじこ)を防ぐ工夫(くふう)が必要(ひつよう)だ

 アウルさん 東京都北区の高齢者(こうれいしゃ)用マンションで、入居者(にゅうきょしゃ)の大半が「拘束介護(こうそくかいご)」されていたことが先月、明らかになったわね。

 A 訪問(ほうもん)介護を受ける以外の時間は、お年寄(としよ)りが自由に動き回れないようにベッドを柵(さく)で囲んだり、自分で脱げない「つなぎ服」を着せたりしていたんだ。都は立ち入り監査(かんさ)を行い、虐待(ぎゃくたい)にあたるかどうかなどをいま、調べているよ。

 ア それは違法(いほう)なの?

 A 昔の施設ではよくあったけれど、今の厚生労働省(こうせいろうどうしょう)は、こうした行為を「拘束」の具体例として挙げている。2000年施行(しこう)の介護保険法で禁じられたほか、高齢者虐待防止法(ぼうしほう)にも抵触(ていしょく)する行為とされる。

 ア なぜ禁止されたの?

 A お年寄りの自由を奪うだけでなく、筋力(きんりょく)が落ち、心臓や肺が弱り、認知症(にんちしょう)が進むなど悪循環(あくじゅんかん)に陥(おちい)るからだ。介護スタッフが丁寧(ていねい)に介護しなくなることも心配されるよ。

 ア じゃあ「拘束」は、いっさいダメなのね。

 A 急に暴(あば)れだすなど、命にかかわる場合は別だよ。そうした「切迫性(せっぱくせい)」と、ほかに方法がない「非代替性(ひだいたいせい)」、最小限(さいしょうげん)の時間にとどめる「一時性(いちじせい)」の三つの要件(ようけん)をすべて満たす時は、例外的(れいがいてき)に認められる。ただし、拘束しなくて済む方法をいつも考える必要があるとされているよ。

 ア このマンションは、なぜお年寄りを拘束していたの?

 A あるヘルパーは人手(ひとで)不足の中で、徘徊(はいかい)や転落事故(てんらくじこ)を防(ふせ)ぐためにしかたなくやっていると話している。人手不足は、多くの施設が抱えている悩みだ。それでも丁寧な介護をするために、工夫(くふう)している施設の取り組みが参考(さんこう)になる。NPO法人の全国抑制廃止研究会(ぜんこくよくせいはいしけんきゅうかい)の「標準(ひょうじゅん)ケアマニュアル」では、ベッドの高さを低くしたり、床(ゆか)マットを使ったりなど、拘束しなくて済む方法を紹介しているよ。(風間直樹、丸山ひかり)

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