【遊ばない子どもたち】

 遊びのような運動も含めて、体をほとんど動かさない子どもや、スポーツをしない子どもが増え続けている。新型コロナウイルスの感染対策による行動制限がなくなったあとも、その傾向が続いているというデータもある。こどもの日に合わせて、現状を探った。

 子どものスポーツ・運動離れについて、笹川スポーツ財団スポーツ政策研究所の宮本幸子政策ディレクターは「じわじわと進んでいると感じる」と話す。

 財団は、4~11歳の運動・スポーツ実施頻度の推移をまとめている=グラフ。ドッジボール、ダンスや、おにごっこ、自転車あそび、ブランコのような遊びも含まれる。

 1年間に1回もしなかった「非実施群」や、1回以上週3回未満の「低頻度群」の割合は共にこの10年で微増している。

 週7回以上実施する「高頻度群」は13年の51・3%から低下し、23年は43・3%と8・0ポイントの減少。減少傾向は男女に通じるが、特に女子で13年の51・6%から23年は39・4%に減った。

 20年春以降のコロナ禍による影響が明確ではない一方で、コロナ禍明けの23年調査では高頻度群の増加が認められず、むしろコロナ下で体を動かさなくなった生活習慣が定着した可能性がうかがえる。幼児への調査では、半数が平日に幼稚園・保育園以外での外遊びをしておらず、12人に1人は1週間のうち1日も園外の外遊びをしていなかった。

 宮本さんは「公園でのボール遊びの禁止やスクリーンタイムの増加などに伴い、多様なスポーツ、運動経験がなくなってきている。時間、空間、仲間の三つの『間』が減り、自然発生的に体を動かす機会が減っている」と分析する。

 背景には、生活習慣自体の変化のほか、両親の共働きや経済的理由も考えられるという。調査には「苦手な子でも体を動かせるスポーツがあったら」「学業優先になってしまった」「スポーツに積極的にとは考えていない」といった保護者の声が寄せられた。

 運動習慣の喪失は健康リスクにつながる。宮本さんは言う。「大人の側が、スポーツや運動をする機会や環境を与えることが求められている」

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体を動かす遊びやスポーツをしない子どもが増えています。どんな背景事情があるのか、探ります。お子さんや保護者らの体験談やご意見をt-sports-dept@asahi.comメールするまでお寄せください。(潮智史