China’s Advancing Efforts to Influence the U.S. Election Raise Alarms

 今年11月の米大統領選を前に、トランプ前大統領を支持する米国人になりすました中国発の偽装アカウントがSNS上で陰謀論を広め、米社会の分断をあおりながら、バイデン大統領批判を展開している――。ネットの偽情報に詳しい専門家や米政府関係者らが明らかにした。

 こうしたアカウントの存在は、米国政治を狙った世論操作の戦術を中国政府が転換している可能性を示しており、バイデン氏ら特定の候補者や政党を標的にすることに積極的になっているのではないか、と専門家らは見る。

 このところ米中双方が緊張緩和に向けた努力を重ねてきているにもかかわらず、ロシアが2016年の米大統領選に世論操作を狙って介入したように、中国も米国の党派的分断につけ込み、バイデン政権の政策の弱体化を狙っているようだ。

拡大する写真・図版2023年11月15日、米カリフォルニア州ウッドサイドで中国の習近平国家主席(右)を出迎えたバイデン米大統領=AP

 X(旧ツイッター)ではこんなメッセージが発信された。「徹底的にMAGA([Make America Great Again]米国を再び偉大に)だ!」「(私は)父であり、夫であり、息子だ」――。これは、トランプ氏の熱狂的なファンになりすました偽装アカウントからの投稿の一例だ。こうしたアカウントは、バイデン氏が高齢だと嘲笑したり、バイデン氏に囚人服を着せた偽画像をシェアしたりしている。バイデン氏は悪魔のような小児性愛者であると主張する一方で、トランプ氏のスローガンである「MAGA」を宣伝しているものもある。

北京官話から英語に切り替え

 トランプ支持者を装った少数のアカウント群を暴いた、英ロンドンの非営利国際的シンクタンク「戦略対話研究所」の上級分析官エリス・トーマス氏は、「このような手法はこれまでに見たことがない」と話す。

 トーマス氏ら研究者たちは、こうした新たな活動が、中国政府と長年にわたってつながりを持つアカウント群のネットワークと関連していることを突き止めた。このネットワークは「スパモフラージュ[Spamouflage]」として知られている。研究者らが詳しく分析したアカウントのうちいくつかは、以前は北京官話(標準中国語)で親中的な内容を投稿していたが、ここ数カ月間で、実在の米国人を装って英語で投稿するようになった。

米国の世論の操作を狙って、中国発の偽装SNSアカウントの動きが活発化。手法も以前より巧妙になっているそうです。

 また、別の調査では、米首都ワ…

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