宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の劇団員の女性(25)が昨年死亡した問題で、歌劇団を運営する阪急電鉄の親会社である阪急阪神ホールディングス(HD)と歌劇団が28日、大阪府豊中市のホテルで緊急記者会見し、歌劇団の上級生(先輩劇団員)らによるパワーハラスメントを認め、謝罪することで遺族側と合意した、と発表した。

 宝塚歌劇団側の会見はネット中継され、ファンやOGが見守った。

 都内在住の女性会社員(50)は「遅すぎる対応だった」と憤る。「亡くなった劇団員に寄り添うことなく、ご遺族をさらに傷つけただけのような歌劇団の姿勢はあり得ない。私がご遺族なら納得はいかないし合意もできない」と話す。

 「パワハラをした上級生たちはそれなりの責任を取るべきで、潔くあってほしい。このままでは宙組の舞台は見られない。27日に発表された宝塚音楽学校の合格倍率が12・0倍まで下がったが、このままでは来年はもっと下がるのではないか」と指摘する。

 劇団員と在団期間の重なるOGの一人は会見について「劇団側の苦渋の選択に見えた」と話した。会見ではハラスメントを認定しつつ、上級生は「悪意をもったものだというふうには感じていない」とされた。

 OGは「私たちは芸事しかしない環境で、何がハラスメントなのかを教えてもらう体制もなかった」と明かした。「収入や観客数など数字しか見ようとしない経営陣が、きちんとした研修をするのかどうか」

 OGは「たくさんの夢と思い出をもらった場でもあり、公演を待っていてくださるファンもたくさんいると思う。双方が合意しての締結ということなので、どちらもこれ以上の批判や誹謗(ひぼう)中傷をされることなく、リスタートしてほしい」と語った。(谷辺晃子)