(29日、秋季近畿地区高校野球大会準々決勝 京都国際1―0近江)

 勝てば来春の甲子園出場がグッと近づく準々決勝。大会初戦を好投し完投した2投手が相まみえた。

 京都国際の左腕中崎琉生(るい)投手(2年)は1回戦、田辺(和歌山)を相手に十回を投げきった。135球を要し2失点したものの奪三振は12。小気味いいフォームで三振の山を築いた。

 対する近江のエース西山恒誠投手(2年)は1回戦の興国(大阪)戦で圧巻の投球を見せた。9回を被安打3で無四球完封。投じた球数はわずか76だった。

 100球以内で9回を投げきっての完封を「マダックス」と呼ぶことがある。部類の制球力で「精密機械」と言われた米大リーグの往年の名右腕グレッグ・マダックス投手にちなむ。すばらしい西山投手のパフォーマンスだった。

 この日、両投手は期待にたがわず八回まで「0」を並べた。そして迎えた九回裏、京都国際の攻撃は1死二塁。近江・西山投手が投じた初球は左前に運ばれ、サヨナラ適時打を許した。「ツメが甘かった」と西山投手は悔やんだ。それでも99球、1失点でこの試合もマウンドを守り切った。

 一方の中崎投手は「打線を信じて、粘って粘って投げた。勝ててよかった」。7安打されたが連打は許さず。見事な完封劇だった。

 この両校は縁がある。

 京都国際は昨春の第94回選抜大会を新型コロナウイルスの集団感染により出場辞退した。開幕前日の決定だった。補欠校だった近江が代わりに出場し、準優勝した。約2カ月後の6月に練習試合をするなど隣県でもあり意識する間柄だ。昨春の選抜からは公式戦で初対戦だった。

 来春の選抜大会の近畿地区の一般選考枠は「6」。京都国際にとって4強入りを決めたこの1勝は非常に大きい。中崎投手は「血のにじむような努力をしてきた。報われた」と喜んだ。(岡田健