エスカレーターでの事故を防ごうと乗っている際に立ち止まることを義務づける条例が10月1日、名古屋市で施行された。違反しても罰則はない。同様の条例は2021年施行の埼玉県に続き、全国で2例目となる。

 条例では、エスカレーターの利用者に対し、左右のいずれの側に乗っても立ち止まることや、エスカレーターを設置する駅や商業施設などの事業者に対しては、周知や啓発を求めている。

 繁華街・栄地区にある市営地下鉄栄駅のエスカレーターの手すりには「歩かないでください」と書かれたデザインが施され、駅員は「2列で立ち止まってご利用ください」と呼びかけていた。

 栄駅を会社員時代から長年利用する同市中区の大山薫さん(88)は「昔から危なっかしくエスカレーターを急ぎ足で歩く人もいたので条例は大歓迎。急ぐなら階段を使ってほしい」と話した。

 昨年実施された市の調査では、大型商業施設や駅など10カ所で約2割の利用者がエスカレーターを歩いたり走ったりしていた。

 以前から障害者や高齢者からは「走っている人がいて危険」との声があった。こうした状況や国内外からの来訪者が見込まれる26年のアジア競技大会などをふまえ、市は条例を定めた。(斉藤佑介