5月19日から広島で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、ジェンダー平等や性的少数者の権利保護について、議長国日本の姿勢が改めて問われる。米民主党政権高官やシカゴ市長としてこの課題に取り組んできたエマニュエル米駐日大使が朝日新聞の取材に応じた。「日本政府が地方自治体や世論に追いつくことを望む」と述べ、国レベルでの改善に期待感を示した。

 日本はG7で唯一、同性婚や、婚姻と同等の権利を保障するパートナーシップ制度を国レベルで導入していない。一方、全体で人口の6割超に及ぶ地方自治体が、性的少数者のカップルを公的に認めるパートナーシップ制度を設けている。朝日新聞の2月の世論調査でも、72%が同性婚を「認めるべきだ」と答えた。

 シカゴ市長などの要職を歴任したエマニュエル氏は3月末の取材で、性的少数者の権利擁護に「生涯をかけて取り組んできた」と語った。2022年1月に駐日大使として来日して以降、日本社会がこの課題について前進していることを感じてきたという。

 エマニュエル氏は「日本の世論は、選挙で選ばれた代表者よりもずっと先をいっている」と指摘。「自治体や市民社会、『差別されない』と明確に規定する日本国憲法に、政治が追いつかなければならないのだと思う」との考えを述べた。

 2月には、差別解消に取り組むべき日本政府の中枢にいた元首相秘書官が、性的少数者や同性婚に対する差別発言をして、更迭される事態も起きた。エマニュエル氏は、性的少数者の権利の向上に向けた取り組みは「一直線に進むことはないだろう」とも語った。

一直線でなかった米国の20年 日本も「同じ」

 エマニュエル氏が大統領上級顧…

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