論説委員・駒木明義=国際社説担当
私がロシア語で質問し、相手がウクライナ語で答える。それを、現地の通訳が英語に訳してくれる。
先日訪れたキーウで、私がインタビュー取材をしたときのひとこまだ。
三つの言葉が飛び交っているが、実はこの中に、全員が理解できる言語が一つある。そう、それはロシア語だ。
歴史的にロシアとの関係が深いウクライナの人々は、大多数がロシア語を自在に操る。だから、私の質問に相手がロシア語で答えてくれるのならば、話は早い。実際、かつて私がモスクワ特派員だったとき、キーウでの取材はロシア語でなんの問題もなかった。2014年にロシアにクリミア半島を占領されても、その状況に変わりはなかった。
だが、今は違う。多くの人が、私的な会話でロシア語を使うことはあっても、改まった場面ではロシア語を話したくないと考えるようになっている。ウクライナ人の通訳も同様なので、英語を使う。
そんな取材先の一人、100年…