偽のエアバッグ販売容疑、全国初摘発 「粗悪品」すでに流通か

大山稜 御船紗子
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 大手自動車メーカーのエアバッグの偽物を販売譲渡したとして、警視庁は26日、パキスタン国籍で中古車販売解体会社員の30代の男2人=群馬県=を商標法違反の疑いで逮捕した。偽造のエアバッグの販売容疑で摘発されるのは全国初。同庁は、これらのエアバッグが正常に機能しない粗悪品で、実際に公道を走る車両に使用されている可能性があるとみている。

 捜査関係者によると、男らは昨年5~6月、トヨタ自動車ホンダ日産自動車がそれぞれ商標権を持つロゴを模したマークの付いたエアバッグ計5個を神奈川県の男性4人に計約11万円で販売譲渡し、3社の商標権を侵害した疑いがある。海外から輸入した部品を使って組み立てていたという。

 同庁が26日に関係先の群馬県みどり市内の作業所を捜索したところ、トヨタ自動車のロゴを模した偽のエアバッグ3個が見つかり、居合わせた別のパキスタン国籍の男2人も商標法違反容疑で現行犯逮捕した。

 男らは同様のエアバッグをオークションサイト「ヤフオク!」で純正品の半額ほどで販売。2021年4月~22年10月に約1千個を販売し、計約1700万円を売り上げた、と同庁はみている。事故車両の修理用として需要があったとみられる。

 大手メーカーがこれらのエアバッグを検証したところ、純正品に比べて火薬の量が少なく、事故時に正常に膨らまなかったり、部品が飛び出たりするおそれがあったという。

 ヤフオクでは20年に業界団体の要請を受け、異常作動の危険があるとして中古のエアバッグの出品を禁止した。ただ男らは同サイトの「未使用品」のカテゴリーで出品していたという。(大山稜、御船紗子

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