痴漢から受験生を守れ! 相次ぐ卑劣な書き込み、私たちができること

御船紗子 小川崇 山本知佳
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 近年、入学試験日の受験生を狙って痴漢行為を呼びかける投稿がネット上で相次いでいる。「受験生は通報しない」「試験日は痴漢チャンスデー」――。試験直前では通報できないだろうという受験生の状況に目を付けた、卑劣な内容だ。昨年の共通テスト前日には「痴漢祭り」がツイッターでトレンド入りした。そんななか、14、15日の大学入学共通テストを前に、警察や鉄道各社が異例の痴漢対策に乗り出している。被害に遭ったらどうしたらいいのか。その場に乗客として居合わせたら何ができるのか。関係機関に聞いた。

 警視庁は、被害者が受験生などで先を急ぐ事情がある場合は、「最大限配慮する」としている。聞き取りを手短かにするなど、なるべく早く目的地へ向かえるよう対応するという。「泣き寝入りせず、勇気をもって声を上げてほしい」と呼びかける。

 生活安全総務課によると、電車のドア付近や車両の連結部分は壁側に追い詰められやすく、被害に遭いやすい。一方、車両中央など壁際を避けた乗車位置は周囲の注目を集めやすく、助けを求めやすい。女性専用車両を使うのも効果的だという。

 痴漢行為を目撃した場合は、被害者に「大丈夫ですか」などと声をかければ、被害者が声を上げやすくなるだけでなく、加害者が痴漢行為を止めることにもつながる。

 警視庁の防犯アプリ「デジポリス」には、「痴漢です 助けてください」とメッセージを表示する機能があり、声が出せなくても画面を周囲へ見せて助けを求められる。「やめてください」という音声も流せる。

 目撃者の利用も想定しており、被害者と思われる相手に「痴漢されていませんか?」と書かれた画面を見せ、助けが必要か確認できる。

 東京都交通局は、目撃者が痴漢被害者を助ける方法の一つとして、車内の非常通報装置を押してもよい、としている。ホームページ上では「ボタンを押しただけでは列車は止まりません」「乗務員や指令員と通話できます」などとある。

 痴漢行為をあおるような書き込みには抗議の声が広がる。昨年12月~1月には、神戸市民らが、関西の5鉄道事業者に痴漢の未然防止や発生時に備えた訓練などを要望。鉄道各社は、共通テストに向けて対策を強化している。

 神戸市交通局は共通テストがある両日、職員を増やして地下鉄の車内や駅構内の巡回を強化する。

 JR東日本も15日まで、アナウンスやポスター掲示などを増やしている。痴漢に遭った際や、目撃した際は「ちゅうちょ無くSOSボタンを押し、周囲のお客さまからのお声かけの協力をおねがいしたい」と呼びかけている。

 大学入試センターは、何かあれば速やかに、受験票にかかれた「問合せ大学」に電話で連絡するよう求めている。

 昨年は、東大前の路上で、共通テスト当日、受験生ら3人が包丁で刺されて負傷した事件があった。この影響で、負傷した受験生ではない他の受験生4人も追試が認められた。御船紗子、小川崇、山本知佳)

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    中野円佳
    (ジャーナリスト)
    2023年1月14日19時56分 投稿
    【視点】

    痴漢という性犯罪が日常的におこなわれていること自体が十分問題ですが、更に入試に向かう被害者を狙うというのは卑劣の極みと感じます。そもそも大学入試を受けるまでの約18年間に、日本では、親が娘よりも息子には教育投資をしないという傾向や、女子学生

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