ロシアによるウクライナ侵攻によって、存在意義が問われている国連の安全保障理事会。その安保理で、日本は今年1月から非常任理事国を務めています。任期は来年末までの2年間です。
しかも今月はいきなり、月替わりの「議長国」として議論のまとめ役を担っています。12日には林芳正外相が出席して、「法の支配」をテーマにした公開討論を開きました。
日本は今後、国連外交をどう展開するべきなのか。外交官として国連などの日本代表部に長く勤務し、国連で広報担当の事務次長も務めた赤阪清隆さんに聞きました。
見えづらくなる日本の「顔」
――赤阪さんは1971年に外務省に入り、国際機関で長く勤務した外交官です。2007~12年には、国連で事務次長も務めました。ただ、国際機関、特に国連での日本のプレゼンスは近年、低下しているように見えます。
日本の経済的、社会的な重要性はさほど大きく変化していないのではないかと思っています。
ただ、国連に目を向けてみると、日本の顔が見えなくなりつつあると感じています。
一つは国連の専門機関のトップのポジションを取れなくなっていることです。世界保健機関(WHO)では中嶋宏さんが1998年まで10年間、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)では緒方貞子さんが2000年まで10年間、それぞれトップでした。松浦晃一郎さんもユネスコ(国連教育科学文化機関)で09年まで10年間、トップを務めていました。
ただ、いまは目時政彦さんが万国郵便連合(UPU)のトップを務めているだけで、90年代、00年代に比べると、どうしても存在感が弱くなってしまっています。
日本人職員も増えつつはありますが、まだ全体の2%台。分担金の割合(約8%)に比べると、少ないと言わざるをえません。政府の途上国援助(ODA)も下がり続け、額が全盛期の半分ほどになった。
日本に求められる「調整役」
平和維持活動(PKO)への参加も、南スーダンから撤退して以降、ほぼない。そういう意味では、日本のプレゼンスが小さくなりつつあると言われても仕方ないです。
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