反ワクチン団体「神真都Q会」幹部らに有罪判決 陰謀論の代償重く

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藤原学思
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 陰謀論を信じ、ゆがんだ正義感に駆られて起こした行動がもたらした代償は、有罪判決だった。

 新型コロナウイルスのワクチン接種を担う複数の会場に無断で立ち入ったとして、建造物侵入の罪に問われた反ワクチン団体「神真都(やまと)Q会」のメンバーら5人に対し、東京地裁の平出喜一裁判長は22日、執行猶予のついた有罪判決を言い渡した。

 団体の元リーダー格で、「岡本一兵衛(いちべえ)」と名乗って活動していた倉岡宏行被告(44)は、懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)となった。倉岡被告と同様に、接種会場3カ所に入った男女2人は懲役1年執行猶予3年(求刑懲役1年)、2カ所に入った男女2人は懲役10カ月執行猶予3年(求刑懲役10カ月)だった。

 判決によると、倉岡被告は今年3~4月、コロナワクチンの接種会場になっていた東京ドーム東京都文京区)、渋谷区内のクリニック、新宿区の区立施設の計3カ所に、他のメンバーらと共謀して無断で押し入った。

 平出裁判長は「多数の共犯者による計画的な犯行だ。各会場の勤務者らは恐怖感や不安感に襲われ、接種会場の平穏は大きく害されている」と指摘。「デモ活動などの適法な方法による意見表明ではワクチン接種を中止させるという目的が達成できないと考え、自分たちの意見を押し通すために犯行に及んだ」と批判した。

 一方、倉岡被告は初公判で起訴内容を認め、団体を退会。11月の被告人質問では「いまは冷静に反省しています。当時は正義を背負い、人の気持ちがわからなかった」と語り、団体に対して解散請求をする意向も示していた。判決はこうした点も考慮し、執行猶予をつけて社会内での更生を求めた。

 神真都Q会は、英語圏発の陰謀論集団「Qアノン」の派生団体とされる。検察側の論告によると、結成宣言には「最悪最強巨大権力支配から『多くの命、子どもたち、世界』を救い守る」などと記されていた。

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