元フジテレビ橋爪駿輝さん リリーさんに背中押されて選んだ道

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太田匡彦
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 フジテレビ社員としてドラマ作りに携わりながら小説家デビュー。自身の小説が音楽ユニットYOASOBIのシングルの原作となり、業界内に名が知られた。ジャンルを超えて活躍する若手クリエーターの橋爪駿輝さん(31)には、心の支えとなっている言葉があるという。「あこがれの人」から言われた一言とは――。

はしづめ・しゅんき

1991年、熊本県生まれ。2014年にフジテレビに入社。デビュー小説『スクロール』(講談社)が来年2月、北村匠海と中川大志のW主演で映画化される。近著に『さよならですべて歌える』(集英社)など。

 小学4年生の夏休み明け、なぜだかわからないが突然、学校に行くのが怖くなった。家に引きこもってひたすら小説を読み、テレビでドラマや映画を見続ける生活が始まった。

 好んだ作品には共通項があった。はたから見たらどうでもいいようなことに悩む主人公たちが描かれていた。自身を投影するあまり「死にたい」と追い詰められたが、一方では「自分だけじゃないんだ」と安心感を得られた。次第に募ったのは「作る側」に回りたいという思い。

 小学生の頭で考えた。「そのためには東京に行かなければ。東京に行くには学校で勉強しないと」。5年生になってまもなく、脂汗をダラダラ流しながら学校へ向かった。

 数年後、九州の片隅で東京を夢見る少年に「あこがれの人」ができた。小説『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』などで知ったリリー・フランキーさん。同じ九州出身、若い頃に苦労を重ね、それでも東京の中心で、文筆や映像の世界で、まぶしい光を放っていた。

 大学を卒業してフジテレビに…

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