実験動物をペットとして譲渡 突き動かす「業界に風穴を」という思い

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太田匡彦
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 動物実験業界に長く身を置く、安倍宏明さん(50)。いまは世界最大の実験犬販売会社の日本法人で代表を務めています。数年前から、実験に使われていた犬猫をペットとして一般家庭に譲渡する活動を始めました。その狙いとは――。

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 ある研究機関で実験に使われていた2匹のビーグル犬。その犬たちをうれしそうに見守る2組の家族。「ようやく一歩目を踏み出せた。ここから業界に風穴を開けていきたい」。2017年8月のこの日、初めて実験動物を一般の家庭にペットとして送り出した。

 役割を終えた実験動物は基本的に安楽死させる。でも体に影響を残さない非侵襲(しんしゅう)的な実験用の動物や、もともと予備として飼育されていた動物などは、命を奪うことなく、ペットとして譲渡できる。動物福祉や情報開示の観点から、欧米を中心に、実験動物をペットとして送り出す譲渡活動は一般的になりつつあるが、日本ではこれまで、組織だっての事例は見られなかった。動物実験業界の閉鎖性が背景にある。そこに風穴を開けたかった。

 鹿児島大大学院で分子生物学

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