日本海側、原発立地自治体で全国初のPAC3訓練 福井・おおい町

佐藤常敬 乗京真知
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 航空自衛隊中部航空方面隊は28日、関西電力大飯原発の立地する福井県おおい町内で、地対空誘導弾「PAC3」などの機動展開訓練を報道公開した。空自によると、訓練は全国で7回目だが、日本海側では初めて。原発が立地する市町村でも初めてだという。

 PAC3は敵のミサイル攻撃などに対する地上配備型迎撃ミサイルだ。訓練は、装置の配置から発射前までの動作確認などが主な目的で、空自の第4高射群第12高射隊(滋賀県高島市)と第6航空団第6基地防空隊(石川県小松市)が参加した。

 午前9時半、大飯原発から南に約7キロの長井浜海水浴場の駐車場で、発射機やレーダー装置、電源車などを配置して、発射準備を整えた。PAC3とは別に、航空機から基地へ撃ち込まれるミサイルなどに対応する訓練も実施された。

 福井県内には15基(廃炉作業中を含む)の原発が立地する。ロシアによるウクライナの原発への攻撃を踏まえ、県は県内原発の武力攻撃への備えの強化を国に求めている。また、今年は北朝鮮の弾道ミサイル発射も相次いでいる。

 岸田文雄首相は国会で、原発がミサイルの標的になった場合の対応について、イージス艦やPAC3などで迎撃すると説明する。空自によると、PAC3は三重県や滋賀県など全国約19カ所に配備されているが、北陸3県にはない。

 訓練後、第12高射隊の近間孝司隊長は「いかなる場合にも対応できるよう日々の訓練を積み重ね、国民の安心、安全感の醸成につなげていきたい」と話した。

 おおい町の中塚寛町長は28日の記者会見で、「安全性の確保に向けた訓練の意義は深い」と述べた。さらに、北朝鮮による最近のミサイル発射を念頭に、「訓練を通じて、より精度を上げていただきたい」と国に要望した。(佐藤常敬、乗京真知

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