ブラックフライデー商戦、日本も続々 品ぞろえ強化し「お得感」強調

益田暢子 田幸香純
[PR]

 米国発祥で年末商戦の前哨戦にあたる「ブラックフライデー」が日本でも始まった。たび重なる値上げで家計の負担が増す中、小売り各社は対象商品を拡充し、「お得感」を前面に出したセールを開く。初参入する百貨店もあるなど、商戦は例年に増して熱を帯びている。

 イオンリテールは18日、全国約350店舗でセールを始めた。27日までの期間中、前年比1割増となる1400品目を売り出す。寝具やオーダースーツでは最大半額をうたう。

 今年は相次ぐ値上げをうけて食品の引き合いが強いとみる。一足早く17日にセールを始めたイオンスタイル品川シーサイド店では、1袋税込み540円でジャガイモやタマネギを詰め放題できるコーナーへの客足が絶えなかった。近くに住む女性(61)は詰め放題の袋二つをかごにいれた。「値上げで家計が大変。こうしたセールはうれしい。お得感があって、探す楽しさもある」と話した。

 15日から店頭セールを始めたイトーヨーカドーも対象商品を前年より5割増やし、154品目とした。高級チョコレートの詰め合わせやルームウェアが人気だという。全体としても「計画以上の売り上げ」になっているという。

 ネット通販大手アマゾンジャパンは「家計の節約に貢献する」とPR。25日から7日間で計約100万品目を売る。期間中はネットスーパーでもセールを開催。首都圏や関西などの一部の有料会員限定だが、最大半額で食料品を買うことができる。

 百貨店大手の高島屋は初めて、ネット通販(EC)限定でセールを行う。同社のECはおせちやお歳暮の販売で、11月末~12月上旬の売り上げが1年で最も高い。この期間にセールを行うことで、年末商戦の起爆剤にしたい考えだ。

 期間は23~28日で約1500品目を用意。食品を中心に最大8割引きとする。振り袖や美術品のほか、高級ホテルの宿泊券や一戸建てなども数量限定で売り出す。広報担当者は「ブラックフライデーは小売りの商環境に定着し、消費者にも認知されてきた」と話す。

 一方、2020年からECでセールを行ってきた三越伊勢丹は今年、取り扱う商品数を大幅に縮小した。過去2年のセールでは「値引きがあまり響かなかった」(広報)という。

 ブラックフライデーは、本場の米国では11月下旬の感謝祭翌日の金曜日を指す。売り上げが増えて黒字になることから「ブラック」と名付けられた。日本では6年ほど前から実施する動きが広がっている。(益田暢子、田幸香純

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    田幸香純
    (朝日新聞記者=働き方、企業、消費)
    2022年11月18日21時49分 投稿
    【視点】

    日本でも浸透しつつある、ブラックフライデー商戦。実はこのタイミングの商戦というしかけが、日本でもマッチしつつあるという話を聞きました。ある小売り関係者は「11月はそもそも冬支度にいろいろと買い物需要が高まっている時期。それでも、ボーナス商戦

    …続きを読む