今年のノーベル賞の発表が、10月3日から始まる。日本の研究力が国際的に下がる一方で、中国の存在感が高まっている。文部科学省は8月、論文の数も質も、中国が米国を抜き世界1位になったと発表した。躍進の背景には何があるのか。中国の科学政策に詳しい笹川平和財団の角南篤理事長に話を聞いた。
――中国は国家予算も研究者数も桁違いです。研究力はやはり「金次第」なのでしょうか。
資金の潤沢さというより、まずは制度ありきです。1980年代後半くらいから国がトップダウンで科学技術・イノベーション改革を推し進めましたが、予算を大量投入するというより、自由に研究できる制度を作り、競争を重視しました。若い研究者でも実力があれば昇進できるし、研究費もとれる。留学から帰ってくると、優遇されて研究費がつき、自分のプロジェクトができる環境を作ったのです。
――なぜそんなことが可能に?
大学改革が大きいです。中国…
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