東京電力福島第一原発の事故の教訓と反省から原子力規制委員会が発足して19日で10年になる。政権が原発回帰の姿勢を強める中、規制委の独立性や役割が改めて問われている。
原発推進派からの強まる包囲網
「原発再稼働に向け、国が前面に立って、あらゆる対応をとる。エネルギー政策の遅滞の解消は急務だ」
8月24日、脱炭素の実現を議論するGX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議。岸田文雄首相が言及した再稼働させる原発には、テロ対策の不祥事を受けて規制委が再稼働の手続きを止め、追加検査をしている途中の東電柏崎刈羽原発なども含まれる。
さらに、原発の「新増設」や、運転期間の延長についても検討を指示した。
会議では経済界から「運転期間のさらなる延長や停止期間の算定方法の見直しも必要」「原子力規制委員会による審査プロセスの一層の効率化、迅速化を進めていただきたい」といった発言が出た。
福島第一原発の事故時に54基あった原発は21基が廃炉に。審査の申請があった27基のうち再稼働は10基にとどまる。
規制が関わる領域に踏み込んだ形の首相発言に、規制委を支える原子力規制庁の関係者は「これまでずっと言いたかったことを、この機会にすべて言っているなと。官邸は今こそと思っているのでしょう」と感想を漏らす。
規制委は10年前、原子力行政の「推進」側の経済産業省から切り離し、独立性が高い「3条委員会」として発足した。
ところが、今年2月のロシア…
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