「成功」の価値観変えた難民支援 MIYAVIさんが変えたいことば

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聞き手・伊藤弘毅
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 アーティストで俳優のMIYAVIさんは2017年、難民の保護や支援に取り組む「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)」の親善大使に、日本人として初めて就任しました。若い世代を中心に世界的な人気を誇るミュージシャンが、なぜ難民支援に取り組むことになったのか。はじめは難民キャンプに行くことが「怖かった」というMIYAVIさんが、支援を通じて得た気づきとは。日本が主導しアフリカ諸国の首脳が参加する「第8回アフリカ開発会議(TICAD8)」が、8月26、27日にチュニジアで開催が予定されるのを前に、かつて活動を通じて訪れたケニアの難民キャンプで暮らす人々の印象やアフリカのイメージ、ウクライナの国内避難民らを含む世界中の難民らへの支援の大切さについて聞きました。

ミヤビ

1981年、大阪府生まれ。独特のギター奏法で世界中から注目され、「サムライ・ギタリスト」の異名を持つ。約30カ国で公演し、ハリウッド映画に出演するなど俳優としても活躍。2017年、UNHCR親善大使に就任。

 ――日本で初めて、UNHCRの親善大使に就任されました。

 13~14年、俳優のアンジェリーナ・ジョリーさんと一緒に仕事をする機会がありました。仕事を含めいろいろな話をする中で、彼女が取り組んできた難民問題の話を聞きました。UNHCR特使としての活動、国連でのスピーチ、様々な国で見てきた問題……。僕自身は元々、難民問題に関する知識もなかったし、支援などの経験もありませんでした。日本にいると、なかなかそうした情報は耳に入ってこないし、実際自分たちの生活にも直接は影響しないじゃないですか。なので、初めて彼女の話を聞いたとき、「世界では、そういうことが当たり前に起こっているんだ」と驚きました。

 15年に、初めて中東のレバノンに行きました。とにかく、まず自分もこの目で見てみたい。自分にできることがあるかどうかさえわからないまま、ギターを抱えてUNHCRの職員と現地の難民キャンプを訪問しました。正直、怖かったです。キャンプから山をひとつ越えたシリアでは紛争が起きていて、空港だけでなくホテルやショッピングモールまで、セキュリティー(警備体制)がすごい。僕もこれまでライブツアーで世界中にいきましたけど、こんな経験はなかなかない。緊張感の中で、行かせてもらったのを覚えています。

 ――レバノンでは、どんなことをしましたか。

 現地で僕ができることは、やっぱり音楽。難民キャンプでは、学校に通えない子が大半で、英語どころか母国語すらちゃんと学べない状況の子がたくさんいます。コミュニケーションもままならないなかで、難民の子たちの前で初めてギターを演奏したときの彼らの輝きとエネルギーには、こちらが驚かされましたし、ギターと音楽を通じて、言葉を超えて子どもたちと一つになる瞬間を感じることができました。スピーカーも照明もアンプもなく、ただギターを弾いているだけ。それでも「これが自分、そして音楽にできることなのかも」と思うことができました。これが、僕の難民支援のはじまりです。

 ――支援にあたって、葛藤はありましたか。

 難民支援の緊急フェーズにお…

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