中国も望まぬ軍事衝突、圧力は経済で ペロシ氏訪台、専門家の見方
ペロシ米下院議長の訪台で、中国はいかなる対抗措置をとり、日本にどのような影響をもたらすのでしょうか。経済安全保障に詳しい東京大学先端科学技術研究センター特任講師の井形彬氏に聞きました。
――ペロシ氏の訪台で中国は今後、どのような対抗措置に出るでしょうか。
中国は米国との軍事衝突は望んでいません。軍事演習や外交上の批判を繰り広げるでしょうが、軍事演習には財政負担が必要で絶えず行うわけにはいきません。それでも批判が口だけだと思われないように、経済安全保障分野の報復や偽情報による混乱、サイバー攻撃などの手法を多用してくる可能性があります。
――中国は3日、台湾への天然砂輸出を禁止しました。
今後禁輸を拡大することも考えられます。中台間の特定の供給網が止まれば、今まで台湾で作っていた部品などが日本に入らなくなることもあり得ます。
日本への影響で懸念されるのは、台湾と関係を深めていたリトアニアに中国がとった措置です。中国は欧州連合(EU)の企業に対し、リトアニア企業が供給網に入っている場合は輸入を止めるという圧力をかけました。今後の状況次第では、台湾生産の部品を使っていたり、台湾企業が供給網に入っている日本企業の製品について、中国に輸入される際の検査で引っかかる恐れがあるといった圧力をかけてくるかもしれません。
たとえ中国が実際に貿易を止…
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- 【提案】
実力を行使せずに、他国に圧力をかける手段として輸出禁止などの制裁が主流となったのは、経った100年ぐらい前からの動きだ。19世紀までは、対戦国に対するブロケードが多かった。その後、大国が小国に対するブロケードも増えた。冷戦中にアメリカを筆頭
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