「恥ずかしい」味方の三重殺もなんのその 苦しくったって西勇輝なら

高橋健人
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(27日、プロ野球 阪神タイガース3―1中日ドラゴンズ)

 味方のふがいない姿が発奮材料になったか。

 五回、阪神の西勇輝は二塁打と死球で2死一、二塁を背負った。リードは1点。新人鵜飼航丞(こうすけ)(駒大)を追い込んでから、外角に145キロの直球をびしっと決めた。見逃し三振を奪い、雄たけびをあげた。

 直前の攻撃、無死一、二塁を築いた。しかし、高山俊が一直に倒れ、一塁走者山本泰寛が帰塁出来ず2死に。さらに二塁走者糸井嘉男はアウトカウントを勘違いしたのか、ベンチへ戻りかけた。あわてて二塁に戻ったがアウトに。セ・リーグでは12年ぶりとなる三重殺をくらって、好機を一瞬でつぶしていた。

 矢野燿大監督は「本当に恥ずかしいプレー。流れが嫌だなと思っていたけど、よく西が踏ん張ってくれた」。

 プロ14年目の31歳は今季、奮闘している。5日、DeNA相手に完封し、リーグワーストとなる開幕からの連敗を9で止めた。勝ち星はこの一つだけだったが、この試合前まで4試合に先発し、27回で防御率は2・00。青柳晃洋が出遅れ、伊藤将司がコロナで離脱する先発陣の屋台骨を支えてきた。

 自身のふがいなさもまた、バネになっている。エースとして期待されながら、昨季は右ひじや腰のけがで6勝9敗と苦しんだ。30歳を超えても続けていたハードな練習を見直し、「けがをしない体づくり」を優先した。

 チームはどん底の4月を送っている。お立ち台でファンに伝えた。「いまから巻き返すしかないし、全員、勝つ気持ちは失っていない」。投手陣のリーダーは、明るい空気をもたらそうと懸命だ。(高橋健人)

 ▼中日がセ12年ぶりの三重殺 27日の阪神戦(甲子園)の四回に記録した。無死一、二塁から一直を捕球したビシエドが一塁を踏んで二塁に送球し、ベースから離れていた二塁走者糸井もアウトにした。三重殺はセでは巨人が2010年に横浜戦で完成させて以来。パでは今月10日に西武がソフトバンク戦で記録した。

 矢野監督(神) 敵失などに乗じ、適時打なしで3得点。「きれいな点の取り方じゃないけど、ある意味いい攻撃だったと思う」

 近本(神) 得点に絡む2安打。「点につながる働きができたことは良かった。あしたはあしたでしっかりやっていきたい」

 立浪監督(中) 失策が絡んで同点、勝ち越しを許し、「ミスから負ける。明日は失策のないように(したい)」。

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