朝日新聞デジタルの「コメントプラス」は、記事に続けて、専門知識を持つコメンテーターのコメントを読むことができるサービスです。総勢約100人。コメントは記事の見出し横にある吹き出しマークが目印です。最近のコメントの中身を一部紹介します。

拡大する写真・図版霞が関の残業代大幅増の記事に、千正康裕さん(左)がコメントプラス

▽霞が関の残業代、初の400億円台に 異例の18%大幅増 22年度(22日配信)

https://www.asahi.com/articles/ASQ2Q4F1DQ2QULFA009.html

 この記事には、株式会社千正組代表・元厚労省官僚の千正康裕さんがコメント。「官僚の残業代の予算が増えたのは、実は官僚の残業が増えたからというわけではない」とし、菅政権発足で国家公務員制度担当相となった河野太郎氏が「ブラック霞が関問題」にメスを入れ、「正確に労働時間を把握して、適切に残業代を支払うよう指示した」ためだと指摘しています。「政府は、なぜ本当の残業時間を公表していないかというと、霞が関ではサービス残業が常態化しているからだ。中央官庁が違法なサービス残業を認めるわけにはいかないので、残業代を支払った時間を官僚の残業時間として公表している」と背景にあった長時間労働の問題を解説しています。

外国人支援、最後の課題は「心の壁」

拡大する写真・図版是川夕さんと小熊英二さんの対談記事に、田中宝紀さん(左)がコメントプラス

▽移民はもう溶け込んでいる?日本社会は変わるのか 是川夕×小熊英二(19日配信)

https://www.asahi.com/articles/ASQ2K647TQ2CUPQJ009.html

 この記事には、NPO法人青少年自立援助センターの田中宝紀さんがコメント。「是川さんが描こうとしている『大きな見取り図』が『外国人』をひとくくりにせず、彼らの中の多様性や状況のグラデーションを明らかにすることにつながれば、必要な支援をより必要な人へ届けやすくなるでしょうし、エビデンスに基づいた未来志向の施策や取り組みも増えてくるのではと期待します」としつつ、「一方で、社会統合状況の進展は共生社会の実現と必ずしもイコールではなく、『心の壁』は最後まで課題として残り続けるのではないかと懸念します」とし、「現場レベルの試行錯誤を重ねて解決に向けての道筋を見いだすことができるよう、私も実践を続けたいと思います」と決意を新たにしています。

 この対談は、コメントプラスのコメンテーターで歴史社会学者の小熊英二さんが、社会人口学者の是川夕さんのインタビュー記事にコメントしたことをきっかけに実現しました。前田直人・朝日新聞コンテンツ戦略ディレクターは「それぞれが深い知見を突き合わせることで、さらに広く深い知見へと広げていく試みに発展しました。これまでの新聞だけではなかなか表現できなかった知的空間が出現したと思います」とコメントしています。

ウクライナ危機に見る米国政治の現状

拡大する写真・図版トランプ氏がプーチン氏をたたえたとの記事に、三牧聖子さん(左)がコメントプラス

▽トランプ氏、プーチン氏を「天才」 ウクライナ東部の独立承認めぐり(23日配信)

https://www.asahi.com/articles/ASQ2R36Q2Q2RUHBI00J.html

 この記事には、高崎経済大学経済学部国際学科准教授の三牧聖子さんが「共和党員・共和党支持者の62%が、プーチンをバイデンより強いリーダーだと考えている」との調査結果を紹介し、「強権的なプーチンへの好意的なまなざしはトランプだけのものではない」とコメント。「今回のウクライナ危機でも、共和党の批判は、ウクライナの主権と国際秩序、国際法を脅かすクレムリンの行動よりも、バイデンの失策が現在のウクライナ危機をもたらしたのだと、現バイデン政権に向けられてきた」とし、「ロシアにつけいる隙を与えているのは、バイデンの『弱腰』の姿勢そのものより、ウクライナ危機を政敵の格好の攻撃材料と見なし、政権の『弱腰』姿勢の大バッシングを展開する野党、このような国際的な危機にすら団結できない米国政治の現状ではないだろうか。危機の克服に向け、まずは一致団結した米国の姿を見せてほしい」と述べています。

 今週は、ウクライナ情勢に関する記事が多数配信され、コメンテーターから様々な分析を交えたコメントも相次ぎました。

※コメントプラスは、ダイバーシティー、SDGs、働き方、教育・子育て、国際のジャンルに詳しい専門家と朝日新聞記者で昨年6月にスタートしました。その後、政治、スポーツ、デジタルの分野に拡大し、コメンテーターは現在約100人。有料会員登録していただくとすべてのコメントを読むことができるようになります。登録はこちら(https://digital.asahi.com/info/price