ナンプラー、かけようとしたが…
タイに赴任することになり、1月19日に入国後、バンコクのホテルで1週間の隔離生活を送った。3日目。夕食でベジタリアンメニューを頼んだ。部屋の前に届いた大きなトレーには、豆のサラダと野菜のパスタ、パンのほかに、食材自体は見慣れているけど、見慣れない組み合わせの皿があった。マンゴーとごはんだ。
「果物とごはんって合うのかな」。そう思いつつ、まあ別々に食べればいいかと気を取り直し、タイの定番調味料の唐辛子入りの「プリック・ナンプラー」を手に、ごはんに少し顔を近づけた。
よく見ると、ごはんにつやがあり、しかも暖かい感じがしない。ようやく気づいた。「これはデザートだ」
プリック・ナンプラーをかけるのをやめ、ひとさじ食べてみた。やっぱり甘かった。
インターネットで「ごはん」「マンゴー」で検索すると、「カオニャオ・マムアン」というタイでは定番のデザートだとわかった。
地球を食べる
たまのごちそう、いつもの食卓。世界の「食」を訪ねたら、各地の文化が見えてきました。
タイに赴任するのにカオニャオ・マムアンも知らないのかとお叱りを受けそうだが、不明を恥じるばかり。タイ語でカオニャオはもち米、マムアンはマンゴーを意味するという。
マンゴーをスプーンで小さく切り、ご飯に乗せた。見た目に戸惑いながら、ほおばった。甘さはしつこくなく、マンゴーともち米が口の中で溶け合ってのどごしもいい。ベジタリアン料理は意外にボリュームがあったが、カオニャオ・マムアンは胃にやさしく染みこむようなデザートだった。
姉妹が開いた「老舗」を訪ねた
1月26日に隔離が明けた。バンコクではどこでも食べられると聞き、庶民的なお店をタイ人の助手に探してもらって訪ねてみることにした。
そのお店はバンコクのチャイナタウンに近い通りにある「パーレック パーヤイ」。レックおばさん、ヤイおばさんという意味だ。
看板には、カオニャオのお皿を手にしたレックおばさんと、マムアンを持ったヤイおばさんを漫画で描いたロゴがあった。「Since 1940」とあるから創業から81年余になる。
迎えてくれたのは「3代目」だというスムスィ・ナカサイさん(70)だ。夫のスリサックさんや娘、いとこたちとお店を切り盛りしている。
スムスィさんによると、パー…
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