「基地移設より経済」映した現職勝利 自民関係者が予測する次の展開

有料記事沖縄・本土復帰50年

上地一姫 国吉美香 神沢和敬
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 沖縄県で重要選挙が続く選挙イヤーの初戦となった名護市長選は、政権が推した現職が勝利した。米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設計画が浮上して7度目の選択。コロナ禍で暮らしが揺らぐ中、争点としての「辺野古」はかすんだ。

 再選を決めた現職の渡具知(とぐち)武豊氏(60)は23日夜、名護市の事務所で支持者らと万歳をした後、茂木敏充自民党幹事長とオンラインで対談した。茂木氏は「2期目も国の立場からバックアップしていきたい」とし、秋の知事選に触れ「良いスタートが切れたと思う」と語った。渡具知氏は「名護市の発展のためによろしくおねがいします」と伝えた。

 政権与党にとって、名護市長選は落とせない戦いだった。

 岸田政権は安倍政権が埋め立てに着手した辺野古移設を進める考えだが、移設をめぐる県内や国内の世論はいまも割れる。辺野古の海底に軟弱地盤が広がっていることも明るみに出て、工事はなかなか進まない。「反対派が勝てば事実上、作業はストップする」(閣僚の一人)との懸念は、回避することができた。

 現職が再選をめざす今回の選挙は、もともと「負ける気はしない」(閣僚)とみていた。だが、選挙が近づく中、復帰50年を迎える沖縄が直面する問題がむき出しになる事態も起きた。

 昨年末から米軍基地新型コロナウイルスの大規模な感染があり、県民らにも感染が拡大。検疫態勢を強化したが、米軍関係者は日米地位協定で日本の検疫の対象外だった。感染症への危機対応が、日本政府の手が及ばない「穴」を浮き彫りにした。

 岸田文雄首相は1月上旬、記者団に「日米地位協定の改定は考えていない」と早々に表明し、政府の立ち位置を明確にした。一方で、コロナ対応が市長選の行方に影響を及ぼしかねない状況を踏まえ、沖縄への手厚い支援態勢をとった。まん延防止等重点措置などで県の要望に速やかに応え、自衛隊で看護師資格を持つ「看護官」らをすぐに派遣するなどした。

 基地問題の争点化は、一貫し…

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