「私は聖人でも犯罪者でもない」 汚職疑惑の前首相、突然の政界引退

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ベルリン=野島淳
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 オーストリアのセバスティアン・クルツ前首相(35)は2日、政界からの引退を発表した。汚職の疑いで、自身や側近ら計10人が検察当局から捜査を受けたことを受け、10月に首相を辞任。その後も与党・国民党の党首や議員を続けていたが、捜査が続く中で突然の引退表明となった。

 記者会見したクルツ氏は10年間の政治活動を振り返った後、「何よりも仕事を優先して働いてきたが、政治への熱意がだんだん薄れてきた」と述べた。「子どもが生まれたとき、政治以外にも美しいもの、大切なものがあることを実感した」とも語った。先週、長男が生まれたという。

 クルツ氏は汚職疑惑について、一貫して否定してきた。この日は「何も悪いことをしていないと言いたいわけではない。私は聖人でも、犯罪者でもない」と述べたうえで、「私への告発が虚偽であることを法廷で証明できる日を楽しみにしている」と述べた。最後に「これから息子と恋人を病院に迎えに行く」と言い残して会見場を去った。

 検察の発表によると、クルツ氏は2016~18年、世論調査会社やメディア会社に公金を支払い、自らに有利な世論調査や好意的な記事を新聞に掲載させた疑いがある。

 当時の財務省幹部が一連の工…

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