インドと対立を深めるパキスタンの政府が、国民に人気があったインド映画の上映を禁じた。客足の減った映画館は苦境にあえぐ一方、国産映画の復活の好機ととらえる映画人もいる。(ラホール=奈良部健)
圧倒的な人気を誇ったインド映画
かつて映画産業の中心地だったパキスタン東部ラホール。映画館が集まる通りを歩くと、人影のない建物が目立つ。
ムンバイで作られたインド映画が旧称ボンベイと米国のハリウッドにちなんで「ボリウッド」と呼ばれるのに対し、パキスタン映画はラホールの地名から「ロリウッド」と呼ばれる。ロリウッドもボリウッド同様、ロマンスやコメディーに歌や踊りが入るものが多い。
しかし、ラホール中心地にかつて60ほどあった映画館は13に激減。映画館ではやっていけず、結婚式場やショッピングモール、自動車のショールームにくら替えする所も出てきた。
映画館「ムバラク」も昨年、式場へ改装した。座席はすべて撤去され、シャンデリアが天井に取り付けられていた。37年間、映画館のチケット販売担当として働いてきたムハマド・イクバルさん(67)は「誰もが映画を誇りに思い、見るのが楽しみだった」と話す。
映画館の閉鎖が相次ぐ理由の…
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