日本やインドと開発予定のコロンボ港、中国に発注へ スリランカ政府

ニューデリー=奈良部健
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 スリランカ政府は、日本やインドと協力するとしていたコロンボ港の開発事業について、一転して中国企業に発注すると明らかにした。巨大経済圏構想「一帯一路」を進める中国による、スリランカへの関与が強まるとみられる。

 スリランカはシリセナ前大統領時代の2019年5月、同港の東コンテナターミナルを日本とインドと共同で開発する覚書を交わした。同年11月に大統領に就任したゴタバヤ・ラジャパクサ氏は当初は合意通りに開発を進める考えを示していたものの、21年2月に合意内容を一方的に変更。スリランカが全額出資して運営すると決めた。

 ところが今月23日の閣議で、中国国有企業への発注を承認した。ただスリランカ当局が「全面的に運営する」としている。ゴタバヤ氏は中国やインドとの関係について「等距離を保つ」と発言してきたが、中国寄りの姿勢が目立ちつつある。今回の中国国有企業はスリランカの高速道路の建設や運営にも参画するなど、関与を強めている。

 ゴタバヤ氏の兄マヒンダ・ラジャパクサ氏は、大統領在任中の2005~15年、中国からの巨額投資で道路や港湾など大型インフラ開発を推進した。国の借金は膨れあがり、返済に困った後のシリセナ政権は、中国の融資で整備したハンバントタ港について、99年間の運営権を中国企業に譲渡した。インドは中国による同港の軍事利用を懸念している。

 スリランカはインド洋の島国。世界のコンテナ船の3分の1がスリランカ沖合を通過し、中東やアフリカと東アジアを結ぶ海上交通路の要衝にあたる。コロンボ港は同国最大の港だ。

 日本は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、米国やインド、豪州を含めた4カ国(クアッド)による連携を強めている。(ニューデリー=奈良部健

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