福島第一原発の処理水、放出の影響「極めて軽微」 東電が評価

藤波優
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 東京電力は17日、福島第一原発の処理水を海洋放出した際の、放射性物質の広がり方や海の近くで暮らす人たちへの影響を評価し、公表した。海水や砂浜などからの外部被曝(ひばく)と、海産物を食べることによる内部被曝を考慮しても、人体や環境への影響は、極めて軽微なことを確認したとしている。

 4月に国が処理水の海洋放出を決めたことを受け、東電は、海底トンネルを作って1キロ沖合に放出する方針を示している。

 国と東電の方針では、海洋放出する際には、汚染水を多核種除去設備(ALPS)などで処理して、ほとんどの放射性物質を取り除く。取りきれない放射性物質のトリチウムは、海水で薄めることで、法定基準の40分の1以下に薄めて海に流すとしている。年間のトリチウム放出量は、事故前の目標値である22兆ベクレル未満にする。

 東電によると、この条件で、処理水を放出した場合、トリチウムの濃度がいまの海水中の濃度(1リットルあたり0・1~1ベクレル)を超える範囲は、年間を通しておおむね、発電所周辺の南北2~3キロにとどまるという。海底トンネル出口の直上では、相対的に濃度が高くなるが、法定基準を下回っており、速やかに周辺に広がり薄まるという。

 漁業関係者らの被曝については、海水や砂浜などからの外部被曝と、海産物を食べることによる内部被曝を考慮。被曝の影響が大きい核種だけが含まれると仮定した場合でも、海産物の摂取量が平均的な成人では、一般人の線量限度(年間1ミリシーベルト)の約2千分の1~約500分の1だったという。

 東電の処理水対策の責任者、松本純一執行役員は「人、環境への影響は極めて軽微であることを確認した。今後、国際原子力機関(IAEA)のレビューなどを通じて評価を見直していきたい」としている。

 東電はこの影響評価について、18日から1カ月、HPで意見募集を行う。放出開始は2023年ごろを見込んでいる。藤波優

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