東京都の地域政党「都民ファーストの会」が母体の国政新党「ファーストの会」が、衆院選の候補者擁立を断念した。国政進出を発表した際は大々的に記者会見を開いたのに、撤退の表明は、A4判1枚のコメントだけだった。
都民ファは都議会の第2会派を担う公党。私は2年前から、都庁の担当記者として取材を続けてきた。党の綱領に「情報公開」を掲げるにもかかわらず、有権者への説明責任を放棄したような行為は、党の存在意義にも関わる出来事だと感じた。
高級ホテルでの会見から12日、一転した対応
都民ファが衆院選での候補者擁立を断念したのは、公示4日前の10月15日。午後3時半から開かれた都民ファの「党連絡会」で、都民ファと「ファーストの会」の代表を務める荒木千陽都議が報告した。連絡会は非公開で行われた。
その12日前、都内の高級ホテルで「ファーストの会」設立の記者会見を開いた荒木氏は強気だった。
「都民の声が国政に届かず、もどかしい思いを繰り返してきた」
「都政にとどまっていては、東京も地方も日本の未来も切り開けないという強い危機感の中から、立ち上がる決意をした」
荒木氏は東京を中心に小選挙区での擁立を目指すとして、国政への思いを次々に語った。
それからわずか10日余りで消えた都民ファによる国政新党の構想。なぜ、公示直前に自ら「不戦敗」を選んだのか。その過程に、どういう議論があったのか。荒木氏に聞きたいことは山ほどあった。
擁立断念の理由は「選挙制度」
だが、それはかなわなかった。
衆院選への候補者擁立断念を…
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