島根原発2号機 「新基準適合」決定 来年度以降、再稼働の可能性も

藤波優 松田史朗
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 原子力規制委員会は15日、中国電力が再稼働をめざす島根原発2号機(松江市)について、安全対策の基本方針が新規制基準に適合すると認める審査書を正式決定した。地元の同意を得たうえで、来年度以降にも再稼働する可能性がある。

 島根原発は全国で唯一、県庁所在地にあり、30キロ圏内に住む避難対象者は45万人超に達する。再稼働には、中国電が立地自治体である島根県と松江市との間で結んだ安全協定の「事前了解権」に基づき、同意が必要となる。両首長とも目立った反対はしていないが、周辺の別の自治体や鳥取県も、中国電に対し事前同意を求める動きがある。

 新基準への適合は10原発17基目。事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型炉(BWR)では4原発5基目で、地元同意や工事の進み具合で、島根2号機がBWR初の再稼働となる可能性がある。

 敷地内に新設している3号機の審査も2018年に始まった。地震や津波の想定は2号機とほぼ同じで審査期間がその分、短くなるとみられる。

 中国電は、地震や津波に備える安全対策工事の総額を当初1千億円超としていたが、現在は約6千億円を見込む。テロ対策施設も建てる必要があり、費用はさらに膨らみそうだ。清水希茂社長は10日の会見で「稼働すれば、投資に見合うメリットがある。経営的に十分回収できる」と話した。

 中国電は島根2号機について13年12月に新基準に基づく審査を申請。今年6月、規制委が審査書の案を了承し、意見募集を実施した。中国電が、規制委と秘密保持契約を結んで貸与されていた資料を誤廃棄し、それを規制委に報告していなかったことなどを受け、「技術的能力を満たしていない」といった指摘などのべ156件の意見が寄せられた。藤波優、松田史朗)

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