再エネ導入に壁 目標設定は排出ゼロ宣言自治体でも3割

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水戸部六美 編集委員・石井徹
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 2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにすると宣言した自治体(ゼロカーボンシティ)のうち、市区町村で太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入目標を持つのは約3割にとどまることが、朝日新聞や一橋大学などの全国調査でわかった。ノウハウや財源の不足、住民トラブルなどが障壁になり、導入の道筋が描けていない実態が浮かんだ。

 政府は2050年の脱炭素化に向けた「グリーン成長戦略」で、再エネ導入の参考値として「発電量の約50~60%」を挙げている。現在は同20%前後で、実質ゼロの達成には、今後の大幅な上積みと省エネの推進が欠かせない。

 ゼロカーボンシティは、小泉進次郎環境相が全国の自治体に呼びかけて急増。この1年半で4自治体から370自治体に増えた。

 調査は、朝日新聞、一橋大学、法政大学名古屋大学、環境エネルギー政策研究所が合同で、昨年11月から全国の47都道府県と1741市区町村を対象に実施。市区町村は14年、17年に続き3回目、都道府県は17年に続き2回目となる。今年3月末までに全都道府県と1288市区町村(回答率74%)から回答があった。4月16日までに実質ゼロを表明した370自治体のうち、40都道府県と261市区町村から回答を得た。

 実質ゼロを宣言した都道府県の95%は「再エネ導入目標がある」と答えたものの、宣言した市区町村では「目標がある」が30%、「検討中」が18%にとどまった。一方、「検討したことがない」は47%に達した。再エネ導入が、市区町村の政策の中できちんと位置づけられていないことを示している。

 目標のない宣言市区町村は、再エネ導入の課題として「事業者と住民のトラブルの恐れ」「資金調達」「事業化に必要なノウハウや経験の不足」「景観への悪影響」を多く挙げた。市区町村全体でも傾向は同じだった。

「事業者と住民のトラブル」回答が増加

 地域で発電した電気を大手電…

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