コロナとわたし スナック経営者+県職員

[PR]

 【茨城】緊急事態宣言が全国に拡大されてから1年がたった。コロナ禍の困難とどう向き合い、どんな知恵をしぼってきたのか。北関東で暮らす人たちの声を紹介する。

 前橋のスナック経営者 吉田真弓さん(51)

 人との触れ合いや出会いが好きで、夜の業界に飛び込みました。独立し、気がついたら26年経っていました。その間、群馬県前橋の街の浮き沈みを見てきましたが、ここまで人通りが絶えたことはありませんでした。変異ウイルスの広がりも気になります。

 店内では検温や消毒はもちろん、空気の入れ替えなどは徹底して行っています。飛沫(ひまつ)感染防止のため、カウンターは1席ずつアクリル板で仕切っています。私も、マスクをつけたままの接客です。

 それにしても「夜の街」全てがコロナの発生源のように批判されるのは悲しいです。ウイルスより怖いのは人の心。排除と差別ではないでしょうか。

 売り上げ? 3分の1以下になりました。ですが、なじみのお客さんからは「ママ、元気かい」「そのうち飲みに行くから、頑張ってね」と励ましのメールや電話があります。みなさん「家飲み」で我慢しているそうです。自分の仕事は多くの人に支えられているんだな、と改めて実感しました。同時に、苦しいのは私だけではないと思うようになりました。

 夜の商売に限らず、人間は「密」じゃないと生きていけないと思うのです。カウンターで見知らぬ人同士が杯を交わし、一緒に歌う。飲食を共にする。それが生きる喜びではないでしょうか。そうじゃなければ、互いに無関心になり、自分さえよければいい、というような社会になってしまう。コロナ禍の先の社会がそうなってしまったらと思うと不安です。

 たしかに、この先どうなるのか分かりません。厳しい現実に押しつぶされそうになることもあります。でもお互いにギスギスしないで励まし合いながら、この苦境を乗り越えられないかなあ、と思うんです。

(聞き手 編集委員・小泉信一

    ◇

 茨城県職員・石崎桂吾さん(49)

 茨城県職員は、コロナ前から在宅勤務制度はありましたが、国の緊急事態宣言を受け、昨年の4月14日~5月17日は、コロナ対応に当たる職員を除いて原則テレワークを指示されました。

 私は畜産課の副参事で、昨年までは行政経営課の課長補佐。管理職なので少ない方でしたが、週2~3回は在宅で、メールを返したり、部下の資料を確認したり。やりづらさはあまり感じませんでした。むしろ、話しかけられたり、電話が鳴ったりしないので、集中力が途切れず、仕事の進みは普段よりもよかったです。

 共働きで、高校生の息子が2人。休校中は私が昼食を作り3人で食べることも。午前5時~午後10時に計8時間働けば時間の使い方は自由なので、長めに休憩を取って近所を散歩する日もありました。昼間はこんなに静かだったんだと初めて知りましたね。

 小さい子どもがいる職員からは、業務を中断して家事や保育園の送り迎えができて、ありがたいという声も聞きました。

 5~6人の部下も、うち1人しか職場にいない日も珍しくありませんでした。部下から資料がメールで送られてきて、「ここはこう直して」とチャットで返す。リアルタイムでやりとりができるので、庁舎にいるのと同じ感覚で仕事ができました。

 部下からは終業後に進み具合を提出してもらう。在庁では、日単位では聞き取らないので、効率的に仕事を把握・運営できた。

 一方で、業者の視察や現場で働く生の人の声を聞くのは、オンラインではなかなか難しい。鳥インフルエンザなど緊急時の対応は言うまでもありません。

 この日は来庁して上司と相談する、この日は在宅で資料を作るなど、業務内容を整理して、テレワークを併用して計画を立てることで、業務全体の効率もよくなる。助言する管理職の役割もますます大事になると思います。(聞き手・佐々木凌)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

新型コロナウイルス最新情報

新型コロナウイルス最新情報

最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[もっと見る]