宮城県内の被災市町に全国の自治体から派遣される応援職員の数が、今年度はピーク時の15%、計92人まで縮小したことが県のまとめでわかった。復興計画がほぼ完了したことから、名取、多賀城、岩沼、亘理、松島の5市町は昨年度で受け入れを終え、残るのは8市町だ。

 東日本大震災後、被災自治体の膨大な仕事量を手助けしようと、総務省と全国市長会などが応援派遣の仕組みをつくった。自治体が独自のつながりで要請する例もある。任期は1~2年間が多く、人件費は国の財源でまかなわれる。

 県によると、4月1日現在の他県自治体からの派遣数は、8市町に92人。石巻市が37人、次いで気仙沼市の23人が多い。昨年4月時点では13市町に273人が派遣されており、一気に3分の1に減る。2013~16年度にはそれぞれ600人超が応援に来ていた。

 被災自治体は、ほかに県庁や県内市町村からの派遣、任期付職員、民間からの採用などでも職員の不足を補ってきた。それを合わせた今年度の「助っ人」は計299人で、自治体が必要とする数(300人)はほぼ充足する。気仙沼市が106人、石巻市81人、山元町44人などだ。

 遠く離れた自治体同士の人的な支え合いは、震災後の各地の大災害でも定着。自治体職員が経験を積む機会にもなっている。

 愛知県岩倉市から岩沼市に派遣され、3月末で帰任した桜井菜穂子さん(35)は「書類の作り方や決裁の取り方などルールが違う。異なる風土で働いたことは刺激になった」。岩沼市税務課で3年間勤務した山形県尾花沢市の佐々木馨さん(32)は、被災市民と接した経験から「公務員として住民にどう寄り添うか、考えさせられた」と話した。(石橋英昭

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