FTA研究、最初は韓国と始まった 日中韓交渉の行方は

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聞き手・編集委員 吉岡桂子
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TPPの元交渉担当者に聞く(下)

 数多くの自由貿易協定(FTA)がアジアにも張りめぐらされる一方、日本と中国、日本と韓国の間には二国間のFTAがない。15カ国による地域的包括的経済連携(RCEP)合意後、アジアの3大経済国は政治の溝を越えた協力に踏み出すのか。FTAが持つ意味は――。日本で初めてのFTA交渉をシンガポールとの間で立ち上げ、環太平洋経済連携協定(TPP)の参加や交渉にも深くかかわった前特許庁長官、宗像直子・第一生命経済研究所顧問にきいた。

むなかた・なおこ 第一生命経済研究所顧問。前特許庁長官。1984年通商産業省(現経済産業省)に入り、通商機構部長、貿易経済協力局長などを経て安倍晋三首相秘書官などを歴任。東京大学法学部卒、ハーバード・ビジネス・スクールMBA取得。

――RCEPに合意して、長く続けている日中韓のFTA交渉は進むでしょうか。民間の研究から数えれば15年以上になります。

 「1997年に東南アジア諸国連合(ASEAN)+日中韓(10+3)の首脳会議が始まり、日中韓も3カ国の首脳レベルで協議・協力の枠組みを持つこととなった。FTAも当初から構想されていた。RCEPは、ASEANや豪州などが参加している枠組みだから交渉が妥結したが、日中韓だけでは当面難しいだろう。これから日中韓でFTAを結ぶなら、RCEPを上回るレベルの協定でなければ経済的な意味がないが、現状では、それをともに生み出す政治的な意思があるようには見えない」

 「もともと韓国は、日本が最…

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