ジャポニカ学習帳に昆虫復活 苦手な子にはイラスト版も

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土居新平
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 小学生向けのノート「ジャポニカ学習帳」が今年、発売から半世紀を迎えた。販売数は計14億冊を超え、表紙を飾った花や昆虫の写真は1200ほどに上る。昆虫のシリーズは「虫が苦手な子がいる」といった理由で8年前に姿を消したが、記念の年に復活。店頭に並び始めている。

 1970年からジャポニカ学習帳を製造・販売するのは、富山県高岡市に本社があるショウワノート。ジャポニカの由来は当時、小学館が出していた「大日本百科事典ジャポニカ」。当初は事典から写真や読み物を転載していた。

 「当時の子どもにとってカラー写真を使った百科事典は特別な存在。なかなか手が届かなかったので、学習帳の『付録』として図鑑を加えた。学習帳の業界で後発組だったこともあり、それで差別化をめざした」。現在の開発担当の小原崇さん(40)はこう話す。

 78年からは、自然写真家の山口進さん(72)が海外で撮った写真を表紙に使うようになった。珍しい昆虫や植物が表紙を飾る学習帳の人気は高まり、販売を伸ばした。

 今も「国語」「算数」「自由帳」などがあり、マスや行数によって約50種類にもなる。小学館が監修し、世界の名所や生き物などを最初と最後に計6ページで紹介する「学習百科」も健在。ショウワノートは小学生向けの学習帳でトップシェアという。

 ただ、2012年に昆虫シリーズはなくなり、今は植物だけとなっている。ノートを扱う学校の教員から「昆虫が苦手な子から、気持ちが悪いと言われる」といった声が届いたことが理由だった。小原さんは「好き嫌いがあるものよりも、誰からも嫌われないノートをめざそうとなった。その年にあまりいい昆虫の撮影ができなかったことも一因だ」と話す。

 それでも「私たちにとって昆虫は大切な存在。もう一度、どこかで日の目を見せられないかと思っていた」。実際、ファンにも昆虫は根強い人気があった。5年前に過去のシリーズを年代別に人気投票したところ、1位はクワガタ、カブトムシ、チョウとなったほか、上位のほとんどを昆虫が独占した。投票の結果を受けて数量限定で「復刻」した。

 発売50年の今年は新たな昆虫シリーズを売り出す。昆虫の写真が表紙の「漢字練習帳」「自由帳」など5冊と、イラストの昆虫を載せた「5ミリ方眼罫(けい)」の5冊。イラストは、虫が苦手な子どもにも親しんでもらうためだ。価格は現行シリーズと同じ、1冊税抜き190円。8月末ごろから順次、店頭に並んでいるという。期間限定で販売する予定だが、好評なら販売を続ける可能性もあるとしている。

■「虫は嫌だと目を閉じないで…

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