パチンコ店「居心地よかった」 ギャンブル依存を語る

武井宏之
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 ギャンブル依存症の実態を知ってもらおうと、市民グループが企画した公開講座が12日、横浜市中区で開かれた。川崎市で依存症者の回復支援に取り組む「かわさきギャンブラーズアディクションポート」(K―GAP)の事務局長で、精神保健福祉士近藤宏さん(54)が自らの体験を語った。

 近藤さんは依存症の当事者だった。家にも学校にも居場所がない少年時代、自傷行為を重ねた思春期を経て、18歳で始めたパチンコにはまった。老若男女が夢中で台に向かう空間が「何となく居心地がよかった」。

 一緒に暮らした女性から渡された金も、親から借りた金も「パチンコ店に吸い込まれるように入り、使ってしまった」。仕事にのめり込んだが、稼いだ金はパチンコにつぎ込んだ。全財産を失い、当時住んでいた横浜市を離れて数年後、ようやくやめることができた。32歳の時だ。

 今もパチンコ店を見たら目をそらすという。近藤さんは「金があればあるだけ使ってしまった。自分で自分の行動が何なのかわからなかった」と振り返った。

 公開講座は、横浜市がカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を表明したのをきっかけに、市民の懸念の強いギャンブル依存症について考えようと、中区で活動する精神保健福祉のボランティアグループなどが昨年11月から隔月で開いている。3月20日には依存症者の家族や支援者がそれぞれの経験や取り組みについて話す。問い合わせは事務局(080・5474・7555)へ。武井宏之

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