消える砂浜、対症療法は限界 変化予測し先手の対策を

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編集委員・佐々木英輔
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 海水浴客が減っている。1985年は3790万人いたのが、2017年は660万人で、海外旅行の1100万人よりも少ない(レジャー白書)。余暇の過ごし方が多様になったとはいえ、各地の砂浜が消失したことも無縁ではないだろう。

 砂浜は戦後、急速に失われてきた。沿岸の開発、ダム建設や砂利採取により、上流から海に流れ込む土砂が減ったことなどが背景にある。東北大の有働恵子准教授(海岸工学)らの研究では、1900年ごろの砂浜の幅は全国平均で70メートル。50年ごろは66メートルだったが、90年ごろには43メートルまで減った。

 地球温暖化の影響も今後懸念される。海面が上がれば、波打ち際は上昇量以上に大きく後退する。今世紀末の予測を踏まえると、砂浜面積の40~90%が失われる計算になるという。巨大台風の激しい波も脅威になる。「砂浜は運ばれてくる砂と失われる砂の収支で成り立っている。一度大きく失われると回復させるのは難しい」と有働さんは言う。

 砂浜は美しい景観や人々の憩いの場をもたらし、ウミガメの産卵の場になるなど豊かな生態系を育んできた。遠浅の海は波の勢いを和らげ、防災面の恩恵もある。

 一方で、海の流れや土砂の量…

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