安保不公平発言、いぶかる日本 貿易交渉の材料化を懸念

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 トランプ米大統領が29日の記者会見で、日米安全保障条約について「不公平だ」と改めて表明した。日米安保のあり方についても「(現状を)変える必要がある」とも踏み込んだ。参院選後の貿易交渉の本格化に加え、日米間で安保条約をめぐる議論も浮上する可能性がある。

 トランプ氏の発言に、日本政府内では当惑が広がる。外務省幹部は「同盟の負担が足りないという、いつもの延長の話だ。もっと払えというのがトランプ氏の持論だ」と受け止める。政権幹部も「(条約への不満を)正式に日本に伝えてきたことはない」と言い切る。

 防衛省幹部は「本格的に安保条約を見直そうとの意図があるわけではなく、貿易交渉とからめて大幅な譲歩を引きだそうという狙いだろう」とし、日米安保条約の改定が日米間の議題に上る可能性は低いとみる。

 ただ、参院選後に本格化する日米貿易交渉と絡め、トランプ氏が日本側に大幅な譲歩を迫るために、「安保条約」を今後しばしば持ち出す可能性がある。

 米国は2021年3月に期限切れとなる在日米軍駐留経費負担の協定について、次の協定では増額を要求する構えをみせており、条約への強い不満をぶつけることで、協定の交渉を優位に進める狙いも透ける。

 また、米国とイランの緊張が…

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